2021/08/31 (TUE)

本学是永教授・木村教授が参加した『日本人の情報行動2020』(橋元良明編、東京大学出版会)が出版されました

OBJECTIVE.

本学是永教授・木村教授が参加した『日本人の情報行動2020』(橋元良明編、東京大学出版会)が出版されました。

「日本人の情報行動調査」は、東京大学大学院情報学環を主軸とする研究プロジェクトであり、1995年から5年ごとに全国調査を実施してきました。その最新調査である2020年調査にもとづき、日本人のメディア利用行動やコミュニケーション行動に関する、詳細な利用実態、メディア環境変化のデータと先端的研究主題に関する論考をまとめた『日本人の情報行動2020』(橋元良明編)が、2021年8月31日、東京大学出版会から出版されました。本学社会学部メディア社会学科の是永論教授、木村忠正教授は、この2020年調査のメンバーであり、『日本人の情報行動2020』でも、いくつかの項目と章を執筆しています(リンク参照)。

是永教授コメント

 本書では「家庭における情報行動——「癒し」としてのネット利用?」という章を執筆しました。共働きが社会の主流となる中で、家庭の生活において、より精密な時間の管理が要求されるために、人びとがストレスを高める状況が多くなっていることが指摘されています。本章ではこのような状況に対して、特に育児に忙しい三、四十代の女性がネットの利用により「癒し」を求めている様子を調査データから明らかにしました。
 大学院生の頃から関わってきたプロジェクトがこれだけの長い期間継続し、日本社会の動向を記録する役割を果たして来たことを感慨深く思います。

木村教授コメント

 四半世紀にわたる日本社会の情報メディア行動の大きな変化を実証的に俯瞰できるプロジェクトに参加することができ、一研究者としてとても幸せに思います。本書では、情報行動の全般的分析を行う第1章で、SNS利用と動画サービスの分析を行うとともに、「情報行動研究における質問紙調査とログデータ」と題した第7章を執筆しました。「日本人の情報行動」調査は、質問紙調査により実施していますが、情報行動研究の方法論という観点から、スマホ利用は、大きな挑戦的課題となっています。スマホは、無意識的、間欠的操作が多発するとともに、多種多様なアプリ、サービス、サイトが利用可能で、利用目的や行動種類が多元化しており、自己申告式質問紙調査でそうした操作、利用を捉えることは困難です。他方、わたしは、ここ数年、スマホアプリ起動ログ自動収集データの学術的分析を行う共同研究プロジェクトに関わっています。スマホ起動ログのビッグデータは、スマホ利用を一挙手一投足捉える「客観的」データのように思われるかもしれませんが、実際に分析に関わると、ビッグデータもまた一定の偏りや特性をもった「調査構築物」であることが明確となります。そこで拙稿では、「日本人の情報行動」調査データとスマホ起動ログデータを体系的に比較し、とくに「孤独感」や「スマホ依存」といった精神的健康と質問紙データ、ログデータとの関連性を探究しています。データそれぞれの「調査構築物」としての特性について示唆に富む分析結果を議論しており、ご一読いただければ幸いです。

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