ゼミ紹介現代文化学科

小池ゼミ(担当者:小池 靖 教授)

心理ブームからスピリチュアルまで

現代世界における価値観やライフスタイルをめぐる諸問題について、フィールド調査を通じて多角的に明らかにします。

これまで学生が扱ったテーマ例:
信じさせるメカニズム
新宗教と日本社会
日本人の宗教観
ホスピスケア
占い師
現代のカウンセラー
学習しょうがいへの支援
ロックファンという共同体
アップル製品の魅力
クラブカルチャー
オタク文化
アニメ聖地巡礼
スポーツ観戦文化
学歴信仰
調査テーマは、宗教、スピリチュアル、心理主義などに力点を置きますが、それら以外でも、生き方、世界観、ライフスタイルなどに関わるテーマであれば、教員と相談の上で取り組むことは充分可能です。
春学期14回は文献の輪読、調査方法の学習をおこない、学生各自で調査対象を決めます。秋学期14回は、調査、インタビューの文字起こし、フィールドノートの整理をおこない、得られたデータについて分析・発表し、ゼミ論文を執筆します。
なお「夏休み中の作業」「サブゼミ」は原則としておこなっていません(2015年度までの状況)。
自分でテーマを決め、自主的に調査に赴く意欲の高い学生の参加を期待しています。

左:合宿風景/右:合宿 横浜中華街にて

ゼミ報告書例

水上ゼミ(担当者:水上 徹男 教授)

グローバルな人の移動とエスニック社会

グローバル・マイグレーション時代における国内での社会変動に関する実証的なデータ収集などを行ってきました。社会学の理論や調査に関するこれまでの学習を活かして、統計資料の整理やインタビューに基づくデータの収集を行います。各自が課題を遂行してレポートを作成、集大成である卒業論文に向けて体系的に取り組むことを目指しています。ゼミでの発表や議論は、外国人住民を取り巻くトランスナショナルなネットワーク、NGOの取り組みや自治体の外国人政策などが含まれて、今日展開されている社会状況やその背景に着目しています。変化する社会を対象としてきた社会学は、まずます重要な領域になってきました。
専門演習2

横浜山手中華学校

新宿区・大久保地区

ゼミ合宿発表会

ゼミ合宿発表会

3年生の「専門演習2」では、毎年、参加者が実施した調査および課題研究の成果を発行しています。論文の執筆者はすべて学生で、参加者全員が個々の関心領域に基づき、個別のテーマを設定しています。また、実地調査として、授業でさまざまな場所に行きます。これまでに外国人住民支援団体に訪問してお話を伺い、池袋や大久保地区で展開されているエスニック・ビジネスなどを紹介していただきました、横浜の中華学校や蒲田のモスクなども訪問してお話を伺いました。おもにエスニック社会と関連したテーマを扱います。

2002年に立教大学社会学部現代文化学科が創設されて、2004年度本学科の3年生の必修科目として、はじめての「フィールド演習」が実施されました。その1期生の報告書にはじまり、現在に至っています(2014年度から新たなカリキュラムのもとで「専門演習2」という授業名に変更)。

2018年度報告書『多文化共生を問う』

2018年度報告書『多文化共生を問う』

近年の卒業論文や修士論文のタイトルは、ホームページで紹介しています。
関ゼミ(担当者:関 礼子 教授)

環境の時代:保護と観光の近代

「ゼミ合宿の集合写真」

環境社会学では、「私」と同じ時代を生きている人の、それぞれの日常、それぞれの世界に出会います。「私」とは異なる環境のなかで、人はどんな環境を守り育んでいるのでしょう。環境社会学の扉をたたくと、環境と環境問題について「何も知らなかった自分」に出会う旅が始まります。
フィールドの出会いのなかで「私」を知ること。そこを基点にして環境を考えてゆくのが関ゼミです。
フィールド演習紹介

「檜枝岐村調査の報告」

人間が生きるために環境は必要だ。人間だけでなく、あらゆる動植物のゆりかごとして自然を守らなくてはならない。——疑いの余地がないことだ。では、「私」にとってはどうか。
関ゼミでは、夏に恒例のゼミ調査合宿がある。フィールドに浸かって環境を考える。環境汚染の被害を被った人びと、自然とかかわりながら生業を営む人びと、開発に悲鳴をあげる自然を守ろうとする人びと、自然の豊かさを持続可能にしようとエコ・ツーリズムを構想する人びと。出会うたびに「私」に問いが突きつけられる。
「私」にとっての環境とは何か。生まれ育った土地や友人と遊んだ公園の風景、家族で訪れた思い出の場所。記憶は「私」が「私」であるためのアイデンティティ。その記憶が自然のなかに、環境のなかに見出される。
フィールドでの調査合宿は、「この環境を守る」という意志を、他人事ではなく、「私」との関係で考える契機になるはずだ。
ゼミ生の声(倉光 瞭)

「民宿檜扇の前で」

2018年8月6日から4日間、福島県檜枝岐村にて村の人たちの生活についてお話をうかがい、フィールドワークを行いました。

檜枝岐村には、日本人の多くが忘れてしまった生活が息づく村です。村に行くためには最寄り駅(会津高原尾瀬口)からバスで1時間ほどかかる。村にはコンビニがない。さらに多くの村の人たちは自給自足の生活をしており、自分たちでどうにかしなければならない。傍から見たら不便と思われる生活の中で、村の人たちは豊かに暮らしています。レヴィ=ストロースの「野生の思考」とブリコラージュ(器用仕事)が生きている村といってもいいかもしれません。

僕たちは春学期、インターネットや書籍を用いて檜枝岐村について調査しました。しかし、このような既存のデータで分かることには限りがあります。フィールドワークは世の中に出ていない村の人たちの素の気持ちや思いに触れることができる素晴らしい機会でした。それぞれゼミ生は「歌舞伎班」、「グルメ班」、「人物班」に分かれ、フィールドワークで村の人たちにお話をうかがいながら、各々の視点から檜枝岐村の魅力に迫りました。僕は「人物班」として、村の人たちが過去から紡いできた生活を続けていきたいが、それでは観光客の増加が望めない、過去と今との両立が難しいという思いを教えていただきました。

僕たち3年の関ゼミ生はなんとたった9人です。その分、自由です。個性的なメンバーなので、意見を聞いていて面白く、ONとOFFがはっきりしている、メリハリがあるメンバーだと思います。
これから各自でフィールドワークの調査をまとめる作業に入ります。みんな、頑張ろう。
高木ゼミ(担当者:高木 恒一 教授)

「集まり」から都市を考える

私の専門は都市社会学です。都市に関心を持つ人にとって、池袋という土地はとても刺激的です。キャンパスを一歩出ると、そこには現実の都市が広がっています。都市に関心ある方には現代文化学科で充実した学びと体験がきっと待っています。
ゼミ紹介

グループワークの中から。各自のテーマのつながりを検討し、つながりを考える

都市には、様々な人びとが集い、多くのモノが集積しています。こうした人やモノの「集まり」に関する具体的な事例に着目し、フィールドワークを通して都市を理解することを目標としています。
テーマはゼミ生一人一人の関心に合わせて設定します。例えば、次のようなものが取り上げられています。

高速道路のサービスエリア
教会
商店街
映画祭
居酒屋
カフェ
電車内の秩序
銭湯
食フェス

このようにテーマは多様です。ゼミ生は「集まる」ことを自由に捉え、自らの日常生活の中からテーマを設定し、研究を進めます。
ゼミの進め方の特徴は、個人、小グループ、ゼミ全体の3つの単位の活動が組みあわせていることにあります。まず全体で基礎的な文献を講読したのち、個々のテーマ設定を行います。その後、関心を共有する小グループを組み、研究計画や調査を相互に検討しながら研究を進めていきます。そして最終成果はゼミ全体の報告書としてまとめられます。
太田ゼミ(担当者:太田 麻希子 准教授)

グローバリゼーションと場所

ある場所や、場所間の関係、そこで生きる人たちについて、フィールドワークを通して学び、考え、他者理解につなげていくゼミです。
現代は、遠く離れた場所間の出来事の相互依存性が高まっている時代です。たとえば、ある都市の商店街の振興やまちづくりが、地元産業のグローバル市場での位置づけの変化と関係するということもありえます。私たちが享受している衣料の消費が、新興国の特別区や国内の地方の工場の女性たちによって可能になっていることだってありえます。都内の公園や教会に集まるベビー・シッターの外国人女性たちが、母国では自分の子どもや家族のためにベビー・シッターやドメスティック・ヘルパーを雇っていることだってありえます。場所や、場所間の関係は、空間的に拡がる商品やサービス、労働力の連鎖といった文脈の中で理解できると言えます。
演習紹介
こうした認識のもとに、本演習では、場所や場所間の関係性について、モノ、ヒト、コト、それぞれの視点から論じた文献の講読を行ない、理論的支柱をつくっていきます。
3年次には、文献研究を行なうとともに、それぞれがフィールドを選び、報告書を作成してもらいます(グループ研究になる可能性もあります)。現場に出て、見る、聞く、話すことによってフィールドワークを進めてもらいます。4年次には、3年次に各自が執筆したものを発展させ、卒業論文を完成させていきます。
グローバリゼーションのもと、国内外問わず似通った景観が広がるようになり、現在は場所の個性が薄まりつつあると言われています。だからこそ現代は、企業や国家の要請のもとで場所性がつくりだされ、様々な媒体を通じてその個性が語られている時代であるとも言えるのです。
履修生には、このような大きな動きがあることを踏まえた上で、個々の都市や地域、集団の社会・経済・地理的なコンテクストを深く知るとともに、その場所で生きる人たちの経験をくみ取り、他者理解につなげて欲しいと思っています。
報告書テーマ例(2015年度)
・富岡の商店街と養蚕農家
・武蔵小杉の大規模再開発と商店街
・スタディツアーとジェンダー
・在日外国人にとっての教会の意味—フィリピン人女性を事例に
・大阪の繊維産業の行方
・アパレル産業に見るグローバル経済・フリーター問題・感情労働
・豊島区の地域活性化政策と郷土資料館
・体育会系はなぜ就職に強いのか
・北京の都市問題—日本人の生活と低賃金労働に着目して
・オハイオ州コロンバスの日本語補習校—自動車産業との関わりと在米日本人にとっての意味
・東京都郊外のジムにおける人間関係の官民比較
・スポーツイベントとインバウンド消費
石井ゼミ(担当者:石井 香世子 教授)

グローバリゼーションと多様な文化・アイデンティティ

このゼミで学べる内容

【左】フィールド実習(東京ジャーミイ・トルコ文化センター)【右】フィールド実習(ニコライ堂)

グローバリゼーションと文化について考えるこのゼミでは、世界の多様な人と文化がグローバリゼーションのなかでどのように“変化”しているかを分析します。
具体的には、①アイデンティティの多重性や可変性、②「日本人」と「外国人」の境界の曖昧化、③観光客のまなざしとローカル社会などを中心に、グローバリゼーションと文化・アイデンティティに関する主題を幅広く取り扱います。
それを通じて履修者1人1人が、これからの人生においてメディアや噂に流されず自分の目と頭で考えて、多様なものと協働して新しい価値を生み出すことができる力の素を養ってもらうことを目指しています。
このゼミでの学習の進め方

【左】フィールド実習(ワット・インブンタムマーラム東京)【右】ゼミ合宿(沖縄県読谷村)

3年生の間ーとくに前半は、基本的な文献を広く浅く読み、またできるだけフィールドに出て、様々な人に出会い、相互交流を重ねてもらいます。これによって、自分が学生時代を通じた主題として、どのようなものに興味を持って取り組めるかを見つけてもらいます。
3年生の後半から4年生にかけては、実際に自分が興味を持てる主題に沿って調査を実施し、卒業論文にまとめます。1人1人が、興味深いと思える内容を、できる限り調査をして納得できるような論文にまとめられることを目標とします。
フィールド演習について

【左】合同ゼミ(関西大学梅田キャンパス)【右】国際ゼミ(アイヌ文化交流センターでシドニー大学生と)

多文化社会・日本を再発見するためのフィールドに、できる限りたくさん足を運んで、教科書以外の部分から経験や対話を通じて学ぶ機会を、できる限り共有していきたいと思います。
小泉ゼミ(担当者:小泉 元宏 准教授)

アート(美術・音楽・演劇・写真・映画など)/現代文化 /コミュニティ

フィールド調査のようす(瀬戸内地域)

小泉ゼミでは、芸術・文化の社会学や、文化政策研究、カルチュラル・スタディーズといった領域に関わる研究に取り組んでいます。

特に、アート(arts, 音楽・美術・演劇・写真・映画など)や創造性(creativity)と、人々の関係性、地域社会、都市、国家、グローバル社会の形成との関係について研究しています。例えば、(1) まちづくり・コミュニティとアート、(2) 政治・エコノミー・メディアと人々の創造性の関係、(3) 都市空間と、サブカルチャーやマイノリティ文化、(4) 表現活動を通じた新たなライフスタイル、などのテーマを取り扱います。近年のアートや創造性、現代文化をめぐる社会の動きの背景に、いかなる社会構造や思想性が含まれているのか。また、それらの問題点はどこにあるのか。さらには、それらの社会構造や問題点を変えていくにはどうしたらよいのか、などを次のようなアプローチを通じて検討しています。

フィールド調査のようす(新潟県十日町市 [越後妻有アートトリエンナーレ])

・文献研究|文化研究やメディア研究、文化社会学、現代芸術論などに関する文献を読み、内容に関する発表や、他のゼミ生とのディスカッションを通じて、現代文化と社会のかかわりに関する視野を広げます。併せて、調査方法や研究方法論に関する理解を深めます。

・フィールド調査や、アートプロジェクト実践|都市・地域における文化実践の現場や、芸術祭・アートプロジェクト・アートスペースなどに関するフィールド調査を、実践的なプロジェクトやアーティストらとの協働を交えながら行っています。フィールド先や合宿は、国内では、首都圏各所のほか、新潟県(十日町市・津南町)、鳥取県(鳥取市・湯梨浜町)、瀬戸内地域、北海道(札幌市など)、海外では、台湾(台北・台南など)、オーストラリア(シドニーなど)、イギリス(ロンドンなど)などを調査地とします(年度によって行先や内容は異なります)

合同ゼミのようす(古本屋・汽水空港 [鳥取県湯梨浜町] / 鳥取大学地域学部との合同研究会)

・インターゼミや、合同ゼミへの参加|東京藝術大学、静岡文化芸術大学、北海道教育大学、慶應義塾大学、九州大学、青山学院大学、東京大学、鳥取大学、国際基督教大学(ICU)、シンポール国立大学(NUS)などの教員・学生と、合同研究発表会を行ったり、合同合宿を行ったりしています(年度によって参加校は異なります)。

・ゲストトーク|国内外の研究者やアーティスト、キュレーター、アートマネージャー、アートライター、ドラマトゥルク、デザイナー、漫画家の方などによるトークを通じて、アートや現代文化に関する研究や実践についての理解を深めます(年度によって内容は異なります)。

共同プロジェクトのようす(Art Center Ongoing [吉祥寺] / シンガポール国立大学との共同調査プロジェクト)

・個人研究|ゼミに所属する学生は、「アートとまちづくり」、「表現活動を通じた新たなライフスタイル」、「クリエイティビティと政治やエコノミー、メディアの関係性」、「音楽をめぐる場」、「障がい者とアート」、「地域アートプロジェクト」、「クリエイティブ産業」など、アートやクリエイティビティ、あるいはまちづくり、現代文化など、各自の興味関心に基づいた個人研究を、教員とのチュートリアルや、ゼミ生とのディスカッション、ピアレビューを交えながら進めていきます。現代文化と社会の関係性にかんする幅広いテーマを選ぶことが可能です。

その他、個々の関心によって、ゼミ活動を通じて、アートに関わる実践活動(例としてアートプロジェクトや芸術祭、演劇祭、アートセンター、オルタナティブスペースなど)の現場への関わりを持ちながら研究や実践を進めているゼミ生もいます。
ゼミ生の声

小泉ゼミ研究報告書の一例

小泉ゼミでは、「芸術・文化と社会」を大きなテーマに、文献講読、ディスカッション、研究発表などを中心に多様な知識の獲得と、創造力・協働力を養うことを目標にしています。また、プロジェクトやフィールドワークを行うことで、実践的な調査方法を学ぶことも重視しています。他学部生や他大学生との交流も多く、さまざまな視点から問題関心についてアプローチできる点も特色と言えます。個性豊かなゼミ生同士で協働しながらお互いを高め合うゼミは、みなさんにとって多くのことを学ぶことができる2年間となるはずです。
木村ゼミ(担当者:木村 自 准教授)

文化人類学的フィールド調査を通して、境界に生きる人々、国境を越えて生きる人々の生活文化を探る

ゼミ生は各自が関心のあるテーマを決めて調査・研究します。

加えてゼミでは、民族誌や文化人類学の理論書を輪読し、議論することを通して文化人類学的視点から文化を分析するためのフレームワークを学び、フィールドワークの実践を通して他者の視点から生活文化を理解するセンスを身に付けます。

夏休み中には、合宿形式のフィールド調査を実施します。年度によって場所は変わりますが、宮古島、台湾等で行なう予定です。

教員の研究およびゼミの詳細については、以下のウェブサイトをご覧ください。
貞包ゼミ(担当者:貞包 英之 教授)

消費社会の現在

ゼミの問題関心
現代社会は消費社会として展開されています。そうした現代社会のあり方を理論的に学ぶとともに、具体的にとらえるために、大都市また地方都市に展開されている住いの文化や労働文化、ファッションやまちおこし、商店街やモールのあり方、マンガやアニメ、映画といった大衆文化などの歴史的かつ現在的あり方を調査し、分析します。
ゼミの展開
3年次は、基礎的な文献を読み、議論した後に、都市を舞台にした消費のフィールドワークにグループで取り組んでいきます。近年では、池袋を舞台に、再開発や移民の増加、乙女ロードの興隆などを調査し分析しています。

それを踏まえ、四年時には各自のテーマに取り組んでもらいます。取り上げるテーマは自由ですが、現代における消費ということを一つの軸として、現代の諸事象を社会学的に分析してもらいます。
これまでのテーマとして、新宿を舞台としたインバウンド消費の分析、プチプラコスメの分析、ショッピングモールの調査、ペットカフェの調査、恋愛ドキュメンタリーの分析、古着屋の調査、ベジタリアン消費の分析など、さまざまテーマが選択されています。

わたしたちが生きている社会の拘束性と可能性について、根底的に考えたいという方は是非参加して下さい。
大倉ゼミ(担当者:大倉 季久 教授)

サステイナビリティ・スタディーズ

 大倉ゼミでは、複雑化する現代世界においてサステイナブルな社会を築くための課題や、課題解決に向けたアクションについて、さまざまな実践を交えながら研究しています。複雑化と書きましたが、気候変動をはじめ、今、私たちが相対している環境危機の多くは、特定の産業や政策が引き起こしたわけではありません。私たちの日常の選択も含め、多様な要因が複雑に積み重なった結果として生じています。そしてその複雑さが対応を難しくしたり、また思わぬところで人間社会の活動に影響を与えています。
 もともとサステイナビリティ(持続可能性)という言葉は、経済活動の急拡大が環境・資源に破壊的な影響を及ぼすようになった産業革命後の世界で、環境と経済との両立を探求する人びとのあいだから生まれた言葉です。この探求は現在に至るまで続いていて、いまだ私たちは、答えを見つけ出すことができていません。

 このゼミでは、まず現代の環境危機の複雑な構図について、文献の講読とディスカッションを通して予備的な知識を整理したうえで、とくに、「食と農」や森林問題など、主に第一次産業の領域で立ち上がっている新たな動きを、フィールドワークを通して追いかけながら、サステイナブルな社会を築くための課題を明確化し、解決の可能性を探っていきます。
 とはいえ、このゼミでの最終目標は、「答え」を見つけ出すことではありません。まずはフィールドワークの経験から、問題の現実を問い、その成り立ちや特徴を実証的に明らかにする技法を学んだうえで、各自の関心を活かした卒業論文を執筆し、現代の社会課題にかかわっていく入り口を見つけ出してほしいと思っています。

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