ゼミ紹介メディア社会学科

橋本ゼミ(担当者:橋本 晃 教授)

行為=思想としてのジャーナリズム/メディア仕掛けの<世界>

ジャーナリズムとは近代初頭の西欧においてアカデミズム=近代科学とともに立ち現われてきた、もうひとつの知のありよう、行為=イズム=思想です。そのレゾンデートルは、19世紀から20世紀にかけてのマスメディアによる行為主体の独占、20世紀末からのデジタルメディア時代の知・情報空間の変容を経て、なおいや増しに増しつつあります。ソーシャルメディア全盛の時代にあって、いやであればこそ、マスメディアの行く末はいずれ、公共コミュニケーションの中核としてのジャーナリズム諸活動の重要性は減ずることなく,幻視すべきはオーディエンスをも巻き込んだ近未来の地殻変動というべきでしょう。

本ゼミでは、娯楽中心のプライベートなコミュニケーションではなく、パブリックな公共コミュニケーションの中核に位置するジャーナリズム、メディアと社会のありようについて、包括的、根源的に分析、思考する場たらんことを目指します。
他方で、われわれはすでにメディア抜きの外界認識などありえないような、メディア仕掛けの<世界>を生きています。そこではデジタルメディアの登場により一部可能になってきたオーディエンスの能動性すらヴァーチャル空間の彼方に不可視化されつつあるかのようです。

これまでに扱ったトピックは、デジタル情報時代における公共コミュニケーションの変容、メディアとしての映画(誕生から半世紀、映画はまぎれもないマスメディアでした!)などです。
対象を観察し、膨大なデータを収集、それらを分類し、一定の法則を導き出す、という近代科学の方法、学術論文の執筆の技法は徹底的に習得してもらいますが、合わせて<現実>を生きること、不可視の<世界>を幻視し記述していくことにも全力で取り組んでいただきます。それこそが、もうひとつの知のありよう、行為=イズム=思想であるからです。
黄ゼミ(担当者:黄 盛彬 教授)

ニュースとポピュラーカルチャーについて考える/Taking News and Popular Culture Seriously

緊急事態宣言下のある日のオンラインゼミ 韓国の放送局(JTBC)の東京特派員によるゲストトーク(3年・4年合同)

グローバル化で変わっていく社会を、メディアとコミュニケーション、または文化の次元から考察します。本ゼミの重要な問題意識の一つは、「われわれと他者」、すなわちナショナル・アイデンティティと他者認識の関係性にあり、研究対象は政治と文化の領域に広がっていきます。メディアは現実を反映するだけでなく、現実を構成する力も持っています。その一例として、<ひと、もの、かね>がグローバル規模で動いている世界に住みながらも、私たちは、<国家、民族、人種、ジェンダー、階級など>のさまざまな境界を意識しつつ、「他者」との差異あるいは「他者」からの承認を求めていることを挙げられます。様々なメディアにおける表象は、<われわれと彼ら>のフレームによって見られ、解釈され、反復されているのであります。 以上のような問題意識からは、本ゼミにおける研究のテーマは、ナショナリズムと他者イメージを一つの中心としつつ、その他にも様々なメディアによるイメージ形成の事例分析を含みます。例えば、ジェンダー、人種、民族、外国、地方、子供、中年、企業などのイメージであり、その対象は、ニュース報道のみならず、映画やドラマ、漫画・アニメ、スポーツ報道などのポピュラーカルチャーなど多岐にわたります。
近年は、グローバルに広がるポピュラーカルチャーについて受講生の関心が高まっており、K-POPや韓国映画、ドラマなどの流行現象や日本アニメなどのクールジャパン文化についての研究論文を多く取り入れています。
ゼミの進め方
 小集団による自主研究に取り組み、研究問題の発見、調査計画の設計および遂行、プレゼンテーションおよび討論、研究論文の執筆に至る研究の流れを体験しながら、卒論執筆に求められる研究力を磨いていきます。
 春学期では、グローバル化とメディア及び文化、国際ジャーナリズムに関わる研究テーマと問題意識、そして先行研究の動向を学ぶ。毎回、報告者と討論者を決め、ワークショップ形式で進めます。秋学期では、各自の問題関心に沿って小集団の研究グループに別れ、研究計画の発表、先行研究のレビュー、調査の中間報告、研究結果のプレゼンテーション、論文執筆に至る研究の総過程を学習していきます。
井手口ゼミ(担当者:井手口 彰典 教授)

媒介(メディア)としての音楽を通じて社会を「視る」

音楽社会学について
あらゆる音楽は社会に埋め込まれて存在しています。社会と一切の関係を持たない自律的な音楽などというものは考えられません。ですから皆さんが普段何気なく聴いたり演奏したりしている音楽にしても、実は現代社会によって強く性格付けられているわけです。また時代や地域が変われば(つまり社会が変われば)、音楽の性格や機能も当然変わってきます。そうした前提のもと、様々な社会における音楽現象の意味やその役割について考察し、そこから当該社会の在り様を明らかにしていくのが「音楽社会学」という学問です。井手口ゼミは、この音楽社会学を専門領域としています。
ゼミの基本方針について
井手口ゼミでは4年生はもちろんのこと、3年生も一人ひとりが独自のテーマを立てて研究に取り組みます。それは時間の限られた大学生活のなかで、何かを研究し論文にまとめるというプロセスに少しでも長く携わってほしいからです。ひょっとすると皆さんのなかには、研究することや論文を書くことを、なんだか面倒な作業だと考えている人がいるかもしれません。確かにそれは、時に厄介で骨の折れるものです。しかし同時にそれは、非常にやりがいのある魅力なミッションでもあります。以下、その理由を大きく二点に分けて説明したいと思います。

1.研究はクリエイティブな活動である
趣味で音楽をやる人や絵を描く人、また詩や小説を書く人は、みんな自力で何かを「創造する」ことの楽しさを知っています。実は論文を書くというのは、それらと同じくらいクリエイティブな営みです。その意味で、研究者は一種のアーティストであり、またゼミで初めて論文に取り組む皆さんはアーティストの卵だといえます。自分の努力が少しずつ「作品」として目の前に結晶化していく快感。それを誰かに受け止めてもらい評価してもらう充実感。ゼミでの活動は、そんなゾクゾクするような創造の喜びに充ちています。

2.研究はエンターテイメントである
推理小説を読むのは面白いですよね。誰でも一度くらいは、自分が名探偵になるのを夢見たことがあるでしょう。でもよく考えてみれば社会学の研究というのは、まだ誰も解き明かしていない世の事象を自分なりに説明付けるプロセスです。つまりそこでは皆さん一人ひとりが、難解な事件に挑む探偵役になれるわけです。論文とは、そんな皆さんの活躍をまとめた「事件簿」であり、またそれゆえに優れた論文は一流のエンターテイメント作品ともなります。極上の推理小説を、自分でも書いてみたいと思いませんか?
井川ゼミ(担当者:井川 充雄 教授)

歴史的観点からマスメディアの構造や影響の考察や分析を行う

われわれの日常生活は、さまざまな〈メディア〉によって成り立っていると言っても過言ではない。今や、インターネットや携帯電話は広汎に普及し、それがない時代に戻ることは、もはや不可能であろう。また、今日でも新聞やテレビは人々の社会認識や世論形成に大きな影響力を持っている。さらに、これらのさまざまなメディアは、相互に関連し合いながら、独特な大衆文化を形づくってきている。本ゼミでは、現代社会におけるマス・メディア報道やメディア文化の特徴や影響について、これらの成り立ちについて歴史的な分析や考察を行うとともに、今後の方向性を考える。
ゼミの第一歩は、問題の“発見”にある。さまざまな社会現象の中から、自分にとって避けて通ることができない問題を発見し、それに関連する文献を読んだり、データを集めたりしながら、分析や考察を行うこと。これは、学問的な営為であるとともに、卒業してからも社会の中で生きていくために必要な能力であろう。ゼミという共同作業のなかで、そうした能力を培ってほしい。
是永ゼミ(担当者:是永 論 教授)

趣味的な文化活動について社会学的に考える

オンラインで文章解析ソフトウェアの実習をおこなっているところです

この演習は、手芸やスポーツなどの趣味的な文化活動について、メディアとコミュニケーションの観点から、社会における趣味活動のあり方や、人々にとって趣味が持つ意味について考えることを目的としています。趣味に関する調査結果や記事情報を電子的に蓄積したデータベースを使用して分析したり、実際の活動の様子を映像メディアに記録して分析するなどの手法を用いて研究します。現実の社会現象から実地的に問題を見つけ、それについてグループで検討しあいながら考えを深めていく、大学ならではの学習を体験できる機会となるでしょう。

オンラインで文章解析ソフトウェアの実習をおこなっているところです

林ゼミ(担当者:林 怡蕿 教授)

多文化主義の視点からメディアのあり方について考察し、分析する

多文化共生、エスニシティ、当事者、ディアスポラ、公共圏などのキーワードから現代社会におけるメディアやジャーナリズムのあり方を捉え直すと、どのような課題や可能性がみえてくるのでしょうか。このゼミでは、関連文献の講読、発表と議論、フィールドワーク通して、問題の核心を一緒に把握していきます。
2013年9月、台湾ゼミ合宿で政治大学伝播学院を訪問しました。交流と研究発表の様子は同学院のHPに掲載されています。
砂川ゼミ(担当者:砂川 浩慶 教授)

社会とメディアの関係を考え、「自ら考え行動する人の育成」

グループ発表、参議院選挙分析、ディベートと盛り沢山のゼミ合宿(2007年8月)

マスメディア、特にテレビ・メディアを中心として、その産業構造、メディアとしての自主自律を担保する法制度と自主規制、デジタル化の現状と課題などにつ いて自らの学習をもとに議論する。コミュニケーションとしてのメディアで重要なことは、自らの考えを他者に伝え、理解してもらう力である。そのためには、 学習によって自らの仮説を持ち、様々な考え方に知ることによって、さらに切磋琢磨しながら客観性を身に付けることが重要である。メディアを取り巻く状況は 大きな変革期を迎えており、“正解のない世界”に乗り出している。そこには多くの課題が横たわっている。これらの課題について、地道な調査や取材を通じて、自らの考えを客観的に構築できることを重点にカリキュラムを組む。学生からの積極的なアプローチを求めたい。
ゼミ生からの声
砂川ゼミでは、社会に通用する人材育成をモットーに「自分で考え行動できること」を目標として毎回のゼミを展開しています。プレゼンテーションやディベートで思考力や発言力を磨き、ゲストスピーカーの講義やテレビ局見学、サブゼミで視野を広げ知識を蓄えるなど内容は様々です。また、毎回課題としてレポートを作成し、それをゼミ生同士で相互評価し合って切磋琢磨しています。内容は決して楽なものではありませんが、とても遣り甲斐のあるゼミです。
和田ゼミ(担当者:和田 伸一郎 教授)

SNSビッグデータを通して、日本社会の特殊性について考える。

卒論中間報告3年4年合同ゼミ

講義では情報社会論を担当しています。AppleやAmazon、Google、MicrosoftなどのSilicon Valleyのテック企業が、どのような歴史的背景をもちながら世界中に進出し、IT化が進んだのか、また今後人工知能が社会へと実装されることによって日本社会はどのように変化していくのかについて授業を行っています。

ゼミでは、主にSNSビッグデータ分析(Twitter、Instagramデータ)を、プログラミング言語のPythonやLinuxコマンドラインを使いながら、3年生ではグループ作業で行い、4年生になると卒業論文をSlackというツールを使って、個別指導を行っています(より正確に言えば、機械学習の中での「自然言語処理」という分野)。

PythonやLinuxについての知識があることは前提にしません。ゼミに入ってから指導しますし、3年生からSlackを使ってもらって、そこで、みんな助け合いながら身につけていってもらっています。

ゼミ合宿でのグループ発表の様子

日本社会はDX(Digital Transformation:あえて平たく言えば、デジタル化)が、遅れているといわれています。一方で、AI人材が外国と比べて大きく足りていないといわれています。このゼミでは、だいたい機械学習は何が得意で、何が不得意なのかを知ること、また、ビッグデータを手で触ることで、しばしば極端にバイアスがかかっているとみなされているSNSデータの多様性に触れ、SNSアプリの設計上、それぞれのユーザーのタイムラインから排除されている、一部の人々の存在(しばしばあまり知られていない、例えば困窮した人々やファンたちのコミュニティなど)を知り、彼らはなぜSNS上でコミュニティを必要しているのかについて考えることをテーマにしています。

これからの時代は、業種、職種を問わず、IT(PC)スキル、データリテラシーなどが、働くすべての人々に必要とされます。こういったスキルとリテラシーを一定程度身につけたいなという人は大歓迎です。
木村ゼミ(担当者:木村 忠正 教授)

ソーシャルメディアなどメディア・コミュニケーションと社会を考える

2015年度木村ゼミ第1期生のゼミ合宿集合写真

インターネット、ケータイ、スマートフォンなどのデジタルネットワークの社会的普及は、コミュニケーションのあり方を大きく変革しています。そこで、木村ゼミでは、SNS、メッセージング、動画サイト、知識共有サイト、ブログなどのソーシャルメディアを中心に、メディア・コミュニケーションを、私たちの生活のあり方、社会のあり方とともに掘り下げ、解析することを中心的テーマとして、多様な活動を行ってます。
メディア・コミュニケーションは、現代社会を理解する上で、最も重要な要素の一つであり、社会学を初めとして多くの研究の蓄積があります。そこで、メディア・コミュニケーションを理解する理論、議論を学ぶとともに、ゼミでは、データ収集・分析の方法を修得することにも重点をおきます。デジタルネットワークが私たちの社会に深く浸透することにより、人々ならびに社会の活動や思考・感情がデータ化され、「ビッグデータ」と言われるように爆発的に増大しています。メール、メッセージ、写真、動画、検索、クリック、位置情報、画面操作の軌跡など、コミュニケーション活動とそれに伴う活動・思考・感情がデータ化され、蓄積されています。このように社会が大きく変化していく中で、「データ」に振り回されず、データとうまく付き合い、自分にとっての「知」に変換していく力を身につけて、社会で活動できる基盤を作ってもらいたいと考え、社会調査、データ分析、ネットワーク分析、テキスト分析などの手法に積極的に取り組んでいます。
以上のような認識にもとづき、ゼミの大きな目標は、"Be a Knowledge Professional !(知の専門家であれ!)"です。21世紀の社会は、これまで以上に、流動的、変動的となり、個々人にとって、大きな可能性が開かれるとともに、リスクもまた社会に広く、深く遍在し、個人に襲いかかります。とくに、情報ネットワーク技術分野における革新により、A.I.やドローンなども社会に普及し、ヒトと協調・競合していくことになるでしょう。ゼミでは、メディア・コミュニケーションと社会の分析、研究を介して、皆さん一人一人が、社会の各界で活躍できる強靱かつ柔軟な思考・分析能力を身につけ、「知の専門家」となれるよう、互いに切磋琢磨していきます。
川畑ゼミ(担当者:川畑 泰子 准教授)

Webスタディース分析実践、デジタルアーカイブを用いた社会現象へのアプローチ

研究室のフォーカス
時空間情報を用いた多様な社会情報の解析

 多様な社会現象-複雑性が伴った時空間情報を用いて、社会現象を多角的に理解する研究に取り組んでいます。定性的な解釈を前提としたデータを用いた定量的な理解を含めた研究アプローチの中では、改めてビッグデータ時代の負の側面や正の側面に出くわすことも増えてきています。それらの、大規模な情報の中にある潜在的な課題(ex.フェイクニュース、エコーチェンバーなどデータの定量的な理解のみを重視した場合の課題)などを探索するwebフィールドワークにも昨今取り組んでおります。インスタンス(ex.Google Colaboratory)など、簡単にサーバー接続によって並列した計算、大規模計算機の利活用も、アカデミック〜一般の境界なく利活用(ex.GPUなどの計算基盤など)が可能にもなっています。webメディアの発達により、様々な意見・社会形成が取り組まれる中で、多様な価値観が交流し、相互作用をしあって私たちは社会の一員として暮らしていることを研究活動を通して理解につなげていただけると良いなと考えております。研究室全体の取組としては、マスメディア〜パーソナルメディアの狭間で、時間的・複雑性が表出しやすい社会になった部分に着眼し、これまで解明ができなかった大規模なオンライン・ソーシャルネットワーク上の言論に対して定性的、定量的な議論、仮説・検証などに取り組んでいきたく考えます。

 大衆の言論がメディアの言論の一部としてより即時・双方向性を持って共有できるようになり、私たちは「ビッグ・データ」を俯瞰することもできるようになっています。老若男女関係なく、「ビッグ・データ」における多様なインサイトを前提に議論もできるようになり、社会・合意形成に寄与が可能なデジタル・シチズンシップの時代が到来しつつあります。大衆同士で意見交流〜引用、参考が盛んな時代となった点にも着眼し、過去と現在における現象の普遍性(共通課題など)に関してデータ分析(自然言語処理〜統計学的アプローチ、機械学習)の考察を得て、議論をしていきたいです。
ゼミの進め方
 専門演習2は、年度ごとに研究課題をいくつか提案し、年間を通して取り組む研究テーマを決めていきます。前期では、年間課題と並行させる形でグループに分けて、トリックアートなど絵画作品を参照、ディスカッションをしていただきます。社会・メディアとの視座を俯瞰する取組で、大規模なデータ処理、データを用いたエビデンス・ドリブンでのジャーナリズムの基礎を学んでいただきます。また、ゼミ内の研究課題に対し、チーム分けをしてディスカッションを行うタームも積極的に取り組みます。前期中の取組を経て、後期からは卒業論文に作成に向けて、より細かい研究調査を行なっていただきます。また、ゼミ全体ワーキングとして、卒業論文執筆時、または、卒業後のキャリアでも活躍できるよう、多様なオンライン上のデータに対する大規模なデータ・マイニング演習を積極的に行っていく取り組みも行っております。

お使いのブラウザ「Internet Explorer」は閲覧推奨環境ではありません。
ウェブサイトが正しく表示されない、動作しない等の現象が起こる場合がありますのであらかじめご了承ください。
ChromeまたはEdgeブラウザのご利用をおすすめいたします。