社会学部現代文化学科の貞包英之教授にインタビュー
2026/04/10
教員
OVERVIEW
社会学部現代文化学科の貞包英之教授に、担当教科やゼミについて語っていただきました。
身近な文化現象から「社会」を考え続ける力を養う
消費は、現代社会を分析するための有力な手がかり
担当教科の「消費社会論」とは、消費を通して社会を考えるために、消費を社会学的に分析する学問です。私たちは、衣食住やエネルギーなど、生活にかかわるすべてを購入しなければ暮らしていくことはできません。日々の営みは消費の連続であり、社会は消費を中心にまわっているとも言えるでしょう。それは教育、介護や医療までも深く結びついています。また、大衆と社会、欲望の変容を消費という軸で見ていくと、その対象はより広がります。都市や地方創生、セクシャリティやアート、マンガやアニメなどのサブカルチャーまで、現代社会の奥行を、消費を通して明らかにしようとする学問です。
「消費社会論」の授業では、この消費社会を作り出した資本主義の歴史を学ぶとともに、それが推し進めた現在の消費社会のありようについて考えます。資本主義が発達し始めた17~18世紀にさかのぼり、それが消費社会を生み出すまでの歴史を学ぶとともに、マックス・ウェーバーやカール・マルクス、ジャン・ボードリヤールなどの理論に触れ、さらに現在の消費社会のあり方について広告やテーマパークなどから考え、この社会がいかなるものとして営まれていくべきかについて格差や環境問題の視点から考えていきます。
社会が複雑化し捉えることが難しくなった今、それでも解き明かそうとするのが、社会学の役割です。消費を分析することは、そのために一定の貢献ができると私は考えています。消費そのものに焦点を絞って見れば、人々はお金を払うことで、良きにつけ悪しきにつけさまざまな願いや望みを叶え続けてきた歴史があります。そして、それはますます拡大しています。つまりは消費を通して現代社会を見る、ということですね。経済学や心理学から消費を考える人もいるのでしょうが、そうではなく、現代社会を分析するために有力な手がかりとなる消費を、社会学の視点から考えます。
「消費社会論」の授業では、この消費社会を作り出した資本主義の歴史を学ぶとともに、それが推し進めた現在の消費社会のありようについて考えます。資本主義が発達し始めた17~18世紀にさかのぼり、それが消費社会を生み出すまでの歴史を学ぶとともに、マックス・ウェーバーやカール・マルクス、ジャン・ボードリヤールなどの理論に触れ、さらに現在の消費社会のあり方について広告やテーマパークなどから考え、この社会がいかなるものとして営まれていくべきかについて格差や環境問題の視点から考えていきます。
社会が複雑化し捉えることが難しくなった今、それでも解き明かそうとするのが、社会学の役割です。消費を分析することは、そのために一定の貢献ができると私は考えています。消費そのものに焦点を絞って見れば、人々はお金を払うことで、良きにつけ悪しきにつけさまざまな願いや望みを叶え続けてきた歴史があります。そして、それはますます拡大しています。つまりは消費を通して現代社会を見る、ということですね。経済学や心理学から消費を考える人もいるのでしょうが、そうではなく、現代社会を分析するために有力な手がかりとなる消費を、社会学の視点から考えます。
消費の舞台としての都市を見つめるフィールドワーク
ゼミのテーマは「現代社会を考える」です。前述のように現代社会は消費の拡大が著しい時代であり、消費を中心とした社会です。そこを視点としながら、多様な社会の活動について考えていきます。具体的に前期は、社会を理解する手がかりとして、消費社会に関わるさまざまな社会学的な文献を読んでいきます。例えば、社会学者の見田宗介や内田隆三、フランスの哲学者ジャン・ボードリヤール、私が翻訳を手がけた、人類学者ダニエル・ミラーの著作などの文献を学びます。
それを踏まえ後期には、消費社会に関するフィールドワークを行い、近年では少数のグループで東京の代表的な盛り場へ出かけています。とくに韓流文化と新大久保の関わり、ファッションと原宿、下北沢のカルチャー、秋葉原のオタク文化について、アンケートやインタビューを含むフィールドワークを行ってきました。それぞれの街で、いかなる消費が繰り広げられ、集団としてのいかなる欲望が表現されているのか。について見ることを通して、現代社会を考えていくためです。それを通して学生たちには、私たちが生きる東京という街の社会学的な意味について、考えてほしいと思っています。東京は歴史的にどのような街で、それがどのように人々の生き方に作用しているのか。今は、ネットですぐに情報を得ることができますが、手軽に情報を集めておしまいにするのではなく、現場へ足を運びつつ、そこにしかない情報を自分の手でつかみ、それを材料として自分が生きている「歴史の現在」について、具体的に手さぐりしてほしいのです。
またゼミでは、年5~6度のペースで街歩きや飲み会、ハイキングなどを行うとともに、3~4年生との合同合宿を行っています。行く先は、韓国と仙台のローテーションを最近は続けています。急速に消費社会化したソウルの街について体感するとともに、地方都市の消費のあり方について知っておくことも必要と考えているためです。立教大学の学生には東京しか知らない者も多いので、日本でなお多くの人々が暮らす地方都市のあり方を見てほしいと思っています。わざわざ行くのですから、フィールドワークのため現地を一生懸命にガイドしていますよ。
それを踏まえ後期には、消費社会に関するフィールドワークを行い、近年では少数のグループで東京の代表的な盛り場へ出かけています。とくに韓流文化と新大久保の関わり、ファッションと原宿、下北沢のカルチャー、秋葉原のオタク文化について、アンケートやインタビューを含むフィールドワークを行ってきました。それぞれの街で、いかなる消費が繰り広げられ、集団としてのいかなる欲望が表現されているのか。について見ることを通して、現代社会を考えていくためです。それを通して学生たちには、私たちが生きる東京という街の社会学的な意味について、考えてほしいと思っています。東京は歴史的にどのような街で、それがどのように人々の生き方に作用しているのか。今は、ネットですぐに情報を得ることができますが、手軽に情報を集めておしまいにするのではなく、現場へ足を運びつつ、そこにしかない情報を自分の手でつかみ、それを材料として自分が生きている「歴史の現在」について、具体的に手さぐりしてほしいのです。
またゼミでは、年5~6度のペースで街歩きや飲み会、ハイキングなどを行うとともに、3~4年生との合同合宿を行っています。行く先は、韓国と仙台のローテーションを最近は続けています。急速に消費社会化したソウルの街について体感するとともに、地方都市の消費のあり方について知っておくことも必要と考えているためです。立教大学の学生には東京しか知らない者も多いので、日本でなお多くの人々が暮らす地方都市のあり方を見てほしいと思っています。わざわざ行くのですから、フィールドワークのため現地を一生懸命にガイドしていますよ。
消費を通して何が見えてくるか、オリジナルな卒論を作り上げてほしい
4年次では各自、興味関心のあるテーマで卒論を書いていきます。卒業論文に関しては、具体的に何かしらの調査を行うことを前提に、オリジナルな論文を作り上げていくことを目標としています。今までおもしろかったものとしては、女性が自由な消費主体へと成長する中で、都市がいかに変わっていくのかをアフタヌーンティーの変遷から探った論文や、ジャニーズなどの男性アイドルを、女性たちがさまざまに限界のある社会を超えて生きようとするある種のアバターとして見る論文。また、深夜ラジオの投稿で女性が男性のふりをして投稿する現象を分析することで、現代社会におけるホモソーシャリティとミソジニーを明らかにした論文などがありました。傾向としてはアイドルやファッションについてのテーマが多いですね。
技術的な話でいうと、自分の足で資料や文献を見つけ出し研究してくれれば嬉しいです。ネットを探ったり、AIを使えばひと通りの答えは出てきますが、それを超えて、自分に、そして他の人に納得可能な答えを見つけ出すことが大切です。そのために消費を研究することは良い入口になるのではないでしょうか。もちろんオリジナルな論文を仕上げることは大変ですが、その都度アドバイスはしますので、最後まであきらめずにとり組んでほしいです。
私自身はこれまで消費社会についての理論的検討に加え、遊郭や園芸植物など江戸文化についての研究、マンガ・アニメの歴史的研究、地方都市におけるモールや商店街についての研究を行い、それぞれについての書籍を書いてきました。今は、ファッションを題材に書籍を執筆中です。この100年ほどのファッションの歴史を消費社会学の視点から分析するという内容になりそうです。今はファストファッションに代表されるように、既製服が大量に販売され、誰でも自分で好きに着たいものを着られる時代です。しかし、既製服が充分に販売されておらず、また、若い女性が自分でお金を稼ぐことができなかった時代においては、それはほとんど不可能でした。本当の意味で若い女性たちが好きな服を手軽に着られるようになったのは、多様な既製服が安く売られ始め、さらに学生のアルバイトも盛んになる1970〜1980年代になってからのことです。この歴史を経て、若い女性たちは自由に「装う」ことで何を叶え、何を乗り越えてきたのでしょうか。消費のこうした代替的な役割について、ファッションを通して見ていきたいと思っています。私自身はファッションコンシャスな人間ではないのですが、ゼミ生にはファッションについて大いに関心のある人もいるので、学ぶことは多いです。
技術的な話でいうと、自分の足で資料や文献を見つけ出し研究してくれれば嬉しいです。ネットを探ったり、AIを使えばひと通りの答えは出てきますが、それを超えて、自分に、そして他の人に納得可能な答えを見つけ出すことが大切です。そのために消費を研究することは良い入口になるのではないでしょうか。もちろんオリジナルな論文を仕上げることは大変ですが、その都度アドバイスはしますので、最後まであきらめずにとり組んでほしいです。
私自身はこれまで消費社会についての理論的検討に加え、遊郭や園芸植物など江戸文化についての研究、マンガ・アニメの歴史的研究、地方都市におけるモールや商店街についての研究を行い、それぞれについての書籍を書いてきました。今は、ファッションを題材に書籍を執筆中です。この100年ほどのファッションの歴史を消費社会学の視点から分析するという内容になりそうです。今はファストファッションに代表されるように、既製服が大量に販売され、誰でも自分で好きに着たいものを着られる時代です。しかし、既製服が充分に販売されておらず、また、若い女性が自分でお金を稼ぐことができなかった時代においては、それはほとんど不可能でした。本当の意味で若い女性たちが好きな服を手軽に着られるようになったのは、多様な既製服が安く売られ始め、さらに学生のアルバイトも盛んになる1970〜1980年代になってからのことです。この歴史を経て、若い女性たちは自由に「装う」ことで何を叶え、何を乗り越えてきたのでしょうか。消費のこうした代替的な役割について、ファッションを通して見ていきたいと思っています。私自身はファッションコンシャスな人間ではないのですが、ゼミ生にはファッションについて大いに関心のある人もいるので、学ぶことは多いです。
読書や映画鑑賞を増やして考え続けていくことが力になる
学生たちに望むことは、卒業したあとも継続的に本を読み続けることができるようになることです。哲学書から小説まで幅広くてかまいませんので、本を読むことで教養を深めてください。複数のジャンルの映画を観ることも同じです。日常的に何かしら先人たちの思考に触れ、考え続けていくことが、ますます流動的なものになっていく社会で、自分自身で人生の舵を取りながら生きていくために大切な条件になるのではないかと思います。
学生は「すぐに役立つこと」を求める人が多いのですが、それでできることはすぐにAIで誰にでもできる時代になるでしょう。大学の4年間は、せっかく学ぶための時間があるのですから、自分が知りたいと思うことを手当たり次第に学んだほうがよいと思います。現代文化学科では、制限なくどのようなものでも研究対象にできます。難しく考える必要はなく、身近なところから。趣味や現在やっていることから勉強することができます。そこを起点としていろいろな世界が広がるでしょう。加えて、立教大学社会学部は、多くの専門の先生がいらっしゃるので、自分に合った学びが見つかる学部だと思います。図書館など設備も充実しており、グローバルな文化にひらかれた繁華街も近く、刺激の多い環境なのではないでしょうか。
学生は「すぐに役立つこと」を求める人が多いのですが、それでできることはすぐにAIで誰にでもできる時代になるでしょう。大学の4年間は、せっかく学ぶための時間があるのですから、自分が知りたいと思うことを手当たり次第に学んだほうがよいと思います。現代文化学科では、制限なくどのようなものでも研究対象にできます。難しく考える必要はなく、身近なところから。趣味や現在やっていることから勉強することができます。そこを起点としていろいろな世界が広がるでしょう。加えて、立教大学社会学部は、多くの専門の先生がいらっしゃるので、自分に合った学びが見つかる学部だと思います。図書館など設備も充実しており、グローバルな文化にひらかれた繁華街も近く、刺激の多い環境なのではないでしょうか。