メディア社会学科、黄 盛彬教授に聞く、10の質問

2020/06/23

教員

Q.1 今までの経歴を教えてください。

大学までは韓国で、大学院からは日本で過ごしています。ニュースキャスターへの憧れもあり、延世大学新聞放送学科に入学しました。大学院に進みましたが、1年目の秋に交換留学生として立教大学に派遣されました。当初は1年半の予定が、翌年には正規の立教生として修士課程に進むことになりました。院生時代にはNHK教育テレビのハングル講座に出演したり、NHKワールドの短波ラジオ放送の韓国語アナウンサーの仕事もしていました。博士課程の途中、兵役のため一時帰国した期間もありましたが、無事に課程を終えることができました。2000年に立命館大学へ助教授として着任。7年間を京都で過ごし、2007年から立教大学社会学部メディア社会学科の准教授、2009年から教授として勤務しています。この間、米国カリフォルニア州サンディエゴとカナダのバンクーバーそして、オーストラリアのメルボルンで、現地の大学の客員研究員として滞在していました。

Q.2 学生時代はどんな学生でしたか?

演劇部に所属していて芝居漬けでしたね。その頃は民主化運動が盛んな時期でもあったので、社会派の作品を選んで上演していました。私は演出も役者もどちらもやりながら、将来はテレビドラマのプロデューサーもいいかなと思ってもいました。まさか研究者になるとは思っていませんでした。

Q.3 専門の研究領域について教えてください。

ニュースと世論の社会学、国際コミュニケーション論が専門です。政治や外交、ポピュラーカルチャーやスポーツなど多岐にわたるメディア言説に注目し、ナショナル・アイデンティティと他者認識の表象について、そして文化・メディアのグローバル化に関する研究に取り組んでいます。複数の立ち位置と多様な海外での研究及び生活経験から得た視点と知識を研究に生かしたいと思っています。

Q.4 担当している授業の内容について教えてください。

「ニュースの社会学1」と「グローバル・コミュニケーション論」です。前者は実験的な科目で、授業はすべて英語です。立教大学には日本語で学ぶことを前提としない外国人留学生もたくさん在籍しています。レポート内容や提示される問題点は、多様な背景を持つ学生が集まった教室であるからこそ、というものが多いです。「グローバル・コミュニケーション論」は、国際コミュニケーション現象に注目する科目ですが、主に東アジア地域における展開動向を、地域固有の状況やグローバルトレンドとの関連で検討しています。日本アニメや韓流ドラマ、K-POPなどを事例として取り上げています。

Q.5 担当しているゼミの内容について教えてください。

「ニュースの社会学1」と「グローバル・コミュニケーション論」に関わるテーマをより深く探求する内容です。政治ニュースのみならず、ポピュラーカルチャー、スポーツなどの多様なメディア内容を広く題材とします。また、ドラマや映画、ポップミュージックなどの多様な文化ジャンルにおけるトランスナショナル化についても研究しています。

Q.6 ゼミを通して特に学生に伝えたいことは何ですか?

ニュースの表面だけを見ずに、問題意識を持って背景の知識を調べ、様々なデータを集め、深く分析していくことです。例えば、ラクビーワールドカップにおける日本代表選手の多様な背景・国籍をどう語るかです。世界のグローバル化や多文化化、人の移動の歴史や現状などを勉強すれば、そしてラクビーの代表選手の一人一人の生い立ちを丁寧に見つめれば、そこから素晴らしい発見ができるはずです。

Q.7 社会学の魅力は何ですか?

社会学はとても幅が広く、いわば「なんでも」分析対象に取り入れることができる学問です。また、社会における様々な現象の「なぜ?」を考えることができるということも大変魅力的ですね。例えば、「K-POPブーム」に関する研究であれば、なぜそのような現象が起きているのか、それぞれの国や社会のローカルな文脈において分析することができます。

Q.8 どのような学生が社会学部により合っていると思いますか?

知的好奇心が旺盛でオープンマインド。他人の意見に耳を傾けることができる人ですね。最も重要なことは、英語で言うとcritical thinking。目の前のことを鵜呑みにせず「本当にそうなのか、なぜなのか」をとじっくり考えることができる人です。

Q.9 学生におすすめしたい本を教えてください。

ベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体ーナショナリズムの起源と流行』とジョン・ダワーの『敗北を抱きしめてー第二次大戦後の日本人』です。前者は、近代のナショナリズムの起源について書かれたもので、国民とは想像された共同体であること、各国でナショナリズムがどのように形成されたかを解説しています。後者は、アメリカの歴史学者による本ですが、戦後日本社会がどのようにして成り立っているのかを深く考えさせる名著です。社会学部で学ぶことを考えている人はぜひ一度読んでください。

Q.10 最後に高校生へのメッセージをお願いします。

良い意味で「知りたがり」になってください。テレビやネットなどで外国・外国人と関わるニュースなどを見て「なるほど」と簡単に納得せずに、そのニュースに登場する国についてもっと調べてみるようにしてください。心を開いて世界に目を向けましょう。歴史と未来に好奇心を持って、言語や文化を学べば目の前の世界はとても広がります。

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