社会学部メディア社会学科の林 怡蕿教授にインタビュー

2021/11/01

教員

OVERVIEW

社会学部メディア社会学科の林 怡蕿教授に、担当教科やゼミについて語っていただきました。

広い世界に目を向けメディアの在り方を問う

情報源を日本語に固定せず、多様な意見に寛容になる

「多文化とメディア」を研究しています。学生たちには、多文化主義を中心にメディアの表象問題、ダイバーシティを複眼的に考察する力を身につけて欲しいと思っています。SNSの発達によりメディアの種類は増加していますが、若年層はネット以外のメディアから情報を入手する頻度が低くなっており、そのほとんどが日本語の情報源に留まっています。こうした状況を自覚しつつ、新たな情報源を開拓して視野を広げ、価値観を固定しないようにすることが大切です。世の中にはいろいろな意見や考え方があります。それらに対して寛容になれることを願っています。

多文化主義に関わる概念および理論を学ぶゼミ

3年次ゼミでは「多文化主義」の観点からメディアの報道や表象問題を中心に議論し、考察しています。具体的に前半では多文化主義とは何か、承認の政治(the politics of recognition)という視点から分析、差別、統合をめぐる問題を中心に勉強をしながら、文献講読を通して欧米並びにアジア諸国の事例を取り上げて議論します。
そして9月後半からはグループ研究を始めます。前半の文献講読や合宿で得た知識をベースに、ゼミ生の問題・関心を中心にグループをつくり、フィールドワークを展開。これまではゼミ生からLGBT、ジェンダー、アイヌ民族、先住民族、留学生の異文化適応、美容整形などさまざまなテーマが提案されて、メディア報道の言説分析、フレーム分析、当事者インタビューなどの手法を用いて考察してきました。2020年度は海外ゼミ合宿の代わりに都内のアイヌ文化交流センターを訪問し、記者・専門家による特別レクチャーなどを催しました。コロナ禍において分断が進む今日のグローバル社会を前に、ジャーナリズムのあり方とは何かを改めて今後のゼミで考えていきたいです。

学生は積極的に冒険・サバイバルを!

コロナ以前は、夏休みの海外合宿が恒例でした。台湾で現地の大学と特別授業を企画し、現地の大学生たちと英語でディスカッションを行う形で開催します。一昨年は異文化や言語の壁を体験しながら、「異なる社会的コンテクストの中に、どのような歴史的経緯や社会的分断、および話し合いが行われてきたのか」をテーマに台湾現地のNPO/NGO、メディア組織、政府関連団体などを訪問して話を伺いました。学生たちは、さまざまな意見と立場があることを肌で感じたことでしょう。2~3日の短い滞在ではありましたが、現地の大学生との交流で親交を深め、たくさんの刺激を受けたことは、その後の成長ぶりからも明らかです。
若い年代のうちに、普段とは違う環境に身を置き、言語や風景や習慣の違いを体験することはとても重要だと私は思っています。よく「まず空気の匂いが違うよ!」と、学生に話をしますが、いつもと違う環境にいることで問題・関心が自然とあるいは強制的に起きてくるはずです。物事に無関心ではいられなくなるということです。冒険やサバイバルは人格形成や自分の方向性を探るにはとても有効です。大学の4年間は自分の時間を自由に設計できます。ぜひ、立教でさまざまな学びを得るとともに、状況が許す限り、外の世界へ飛び出して欲しいですね。

多様な教授陣が幅広い学びを全面サポート

社会学部の教員は外国人教員もいて、それぞれみなさんの研究内容が異なり個性的です。最先端の研究に取り組まれている先生や、量的・質的調査の分野において蓄積のある先生方々もおられます。ということは、それだけ数多くの視点を学び、獲得するこができるということです。学生のみなさんは、ぜひ立教の恵まれた環境をフルに有効活用して4年間を有意義に過ごして欲しいです。

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