社会学部社会学科の野呂 芳明教授にインタビュー

2021/11/02

教員

OVERVIEW

社会学部社会学科の野呂 芳明教授に、担当教科やゼミについて語っていただきました。

理論や方法論を道具に実社会のフィールドへ

社会システムによって成り立つ、私たちの何気ない日常

「高齢化の進む地域社会と福祉」を主な研究テーマにしています。現在、公団(UR)住宅で高齢化が進む住民側の要望や不安・不満の調査研究に取り組んでいます。また、外国にルーツを持つ人のコミュニティの実態調査として、主には東京在住のバングラデシュ人を中心にヒアリングを行っています。
私たちの何気ない日常生活は、さまざまな社会的ネットワークやサポート網など、複雑に張り巡らされたシステムによって成り立っています。学生にはそうした「社会」と「私」の接点について、深く考えて欲しいと思います。この大学を含め、公共施設やサービス、交通体系、近隣地域や家族など、幾重にも重なり合う現代社会に私たちは所属し生きていることをまずは意識することからです。少しでも多くフィールドへ出て、データを見て、感じて、物事の背後にあるいろいろなネットワークの存在を理解することで、社会が見えてくるのです。

今の社会に続く連綿とした大きな流れを見る

社会学の学びにおいて役立つことは「書を持って街へ出よ」です。理論や方法論などの基礎知識を十分に身につけ、それを道具として使います。
そこで大切なことは、社会学の原理原則です。社会において新しく見える現象は、実は昔からよくみられた現象であることがほとんどです。今はメディア、SNSの発達で何でも調べることはできますが、重要なのは偏りのない広い視野です。今だけを見るのではなく、長いスパンで物事をとらえなければ見えてこないことがあります。関連する歴史や、高名な人たちの書いた古典などをふり返ると、「だから、人は物事をそう見てしまうのか」という気づきや発見が必ずあります。社会には連綿と続く流れがあるので、現代の問いをその流れの中で位置づけて考えることがとても大切です。社会学部で長く教えてきた教員として、そのことをいちばん伝えたいですね。そのため、学生さんとのコミュニケーションは密にとるように努めています。いまや学生の親御さんたちよりも上の年代になってきましたが、ゼミ生などがフランクに話しかけてくれたりすると嬉しく感じます。

社会に対して違和感を持つ人こそ、社会学を学んで欲しい

私自身、若いころは「社会」というつかみどころのないものに対して、違和感を抱いていたもののひとりです。「自分の居場所は?」「〇〇であるべきとはなんだろう」など、窮屈さや矛盾などを漠然と感じていました。「世の中ってそういうものだよね」と言われてしまうことも、学問の対象として見てみる。「社会」を深く知ると、その窮屈さや矛盾があることによって、実は日常が支えられ、安定している場合もあったりすることが見えてくる。社会学を学ぶなかで複眼的な物の見方ができてくると、自分の生き方を深く考えるのにもきっと役立つと思いますよ。

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