社会学部現代文化学科の太田 麻希子准教授にインタビュー

2021/11/01

教員

OVERVIEW

社会学部現代文化学科の太田麻希子准教授に、担当教科やゼミについて語っていただきました。

ひとつのテーマにあらゆる方法で挑む

フィリピン・マニラの都市貧困地域をグローバル化の視点で見つめる

「グローバル都市論」などの授業や「グローバリゼーション時代の都市と地域」をテーマにしたゼミを担当しています。私は大学院時代から、フィリピン・マニラの都市貧困地域をフィールドに、女性の労働・移動や住民組織活動の研究に携わってきました。その地域の状況も、グローバル化や産業構造の変動により大きく変わりつつあります。以前は、貧困地域の女性の雇用や働く場所は限られていました。最近ではビジネス地区のオフィスに働きに出る、海外就労に出るなど新たな動きがみられます。そのような中で生じる、家族における女性の役割やジェンダー規範の変化に注目して研究を行っています。

興味関心のあるテーマ、フィールドを見つける難しさ

3年次のゼミ前半は文献講読で、所定の本や論文をメンバーが順番にレジュメをつくって発表しディスカッションを行います。その後、各自で研究したいテーマを決め、近いテーマごとに班をつくります。テーマに沿った関連団体や個人などにコンタクトをとり、インタビューなどを行ない、最終的には報告書にまとめてもらいます。
今年度の卒業生が3年生のときに行った研究でいうと「日本の簡易宿泊所街とフィリピンの都市貧困地域」「在日フィリピン人のコミィニティ形成」「民泊」などをテーマとして取り上げた班がありました。コロナ禍の前は、夏にフィリピンでゼミ合宿を行い、現地のNGOが支援している都市貧困地域や小学校を訪問したり、学生が主体となった企画で鬼怒川での合宿を実施したこともありました。
現代文化学科はフィールドを持つことを重視しています。学生の皆さんには、追求できるテーマと出会い、自分のフィールドを持って研究を深めて頂きたいと思っています。そのためには、まず自分の興味関心がどこにあるのかを知らなければなりません。その的を絞るのが、意外と難しい作業なのです。重要なテーマとの出会いは、人だけではなく本が方向性を決定づけるということもあります。私自身も、偶然出会った本に強い衝撃を受け、途上国の貧困に目を向けるようになったのです。

他者理解の精神を持ち、卒論に挑んで欲しい

3年次の後半から4年次になると卒論に向けた作業が中心になり、グループ作業ではなく、個人での研究を中心に進めていくことになります。ゼミ内での個人報告や教員との面談(オンライン)を通してテーマを絞り、調査や執筆作業を行なっていきます。大学生活の最終ゴールとして、3万字を超えるボリュームの論文を書くわけですが、現地調査に加え、大学の内外の図書館、インターネットなどあらゆるものを利用して情報を収集。時間をかけてひとつのテーマとじっくり向き合い、大量の文章を書いてまとめあげる体験は、人生においてそうあるものではありません。
今年の例をあげると銭湯の役割、在日外国人コミュニティと防災、グラフィティ、メディアで表象される都市とジェンダーなどテーマは多岐にわたります。調査のため現場へ行くには多くの準備も必要ですし、自分から遠いと感じる人たちと出会うのは、ハードルが高いと思うかもしれません。しかし、そこを越えてこそ探求できるものがあります。その際に必要なことが「他者を理解しようとする姿勢」です。その場で生きる人たちの経験を真摯にくみ取るなど、他者理解を大事にして、ぜひ集大成である卒論完成までやり抜いて下さい。

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