座談会

稲川祐真 Inagawa Yuma 久保田尋 Kubota Hiro 佐藤るる Sato Ruru 友井エミィチカ Tomoi Emichika

2024/04/10

在学生

OVERVIEW

グローバルな視点から国内外の社会と文化を理解する、社会学部。
多彩な講義・演習科目と、層の厚い専門教員陣がそろう環境のもと、
展望を持って入学した各学科のみなさん。それぞれ進む道が決まった今、
この4年間をどう振り返るのでしょうか。
社会学部で得た経験を、座談会形式で大いに語っていただきました。

稲川
1年次の「社会学原論」では、複数の社会学者の理論を学びました。難しくはありましたが、自分はフランスの哲学者ミシェル・フーコーの「パノプティコン」という〝監視の眼〟についての考え方が、講師をしていたアルバイト先の塾で「使える!」と思い応用しました。
久保田
昔の理論でも現代社会に応用できますよね。高校生のころは、大学の勉強とは高尚で遠いもののように想像していましたが、意外と身近で日常的なトピックが多いですよね。
友井
さまざまな社会問題を、理論を通して多角的に捉える力を養えるのは、社会学の魅力だと思います。未解決の問題にスポットを当てて、理論と紐づけていろいろな角度から検証するからゴールはないけれど、そこを考え続けるのが社会学の楽しさかも。
稲川
経済学のように、明確な答えがあるわけじゃなくて「こんな考え方もあるよ」ってさまざまな方向性や可能性を示してくれる、そんな優しい感じがします。
佐藤
高校では絶対に扱わない分野で、とても大学生っぽいと思った講義が「流行論」。ファッションの変遷などについて学ぶ人気の授業でした。身につけるもので地位やアイデンティティを表現しているとか、ファッションもメディアの一部だと知って「なるほど!」と思いました。
友井
私も「流行論」の講義を受けました。最終的に4000字のレポートを提出しなければならず、私はそのときレポートの書き方がわからなくて、とても苦戦した思い出があります。
久保田
同じです!立教大学のHPに「マスター・オブ・ライティング」という、レポートの書き方を懇切丁寧に解説したPDFが掲載されていたのですが、それを知ったのはあとからでした。私もある講義でレポートを提出したところ、まったく体裁をなしておらず「ひとつの段落には、多くても600字までが読みやすい」、「初めてその分野について学ぶ人でも、理解しやすい書き方や表現をする」といった先生のご指導が、大変貴重でありがたかったですね。
佐藤
大学で初めて知ったことはたくさんありますよね。私は、映画やドラマなどのエンターテインメントと英語が好きで、メディア社会学科の国際社会コースを選んだのですが、入学当初は「英語を使った仕事ができればいいな」と漠然と考えていました。
それまでは、自分の好きな映画やドラマは、単なる娯楽だと思っていたのですが「ポピュラーカルチャー論」の講義で、それらはちゃんとした文化でありメディアだということを知りました。それがきっかけで「仕事にしたい!」と思いました。現在、映像制作会社に内定をいただきました。そこでCM、MVなどの映像作品を国内外に発信できたらいいなと思っています。
久保田
私は高校生のころから、社会的に弱い立場にいる人たちのためにできることを考えていました。その「できること」を探すためには社会学を学ぶしかないと思い、立教大学社会学部を選びました。社会的マイノリティに光を当てるため、資本主義に抗いたいというか。政策的なことで何かできないかなと。就職は、東京都庁で教育に携わる公務員として勤めることになりましたが、それも社会学から影響を受けて選んだ道です。
稲川
私は、広告会社に就職します。広告は、生活者が「何これ?おもしろい」って目に留まるものでなくてはならなりません。そのためには、いろいろな異なる側面から見るとか、新しい切り口で物事を考えるなど、社会学で身につけたことを活かすことができると思っています。
友井
私は、小学校2年生からずっとバレーボールを続けていて、高校も強豪校でスパイカーとして部活漬けの生活を送っていました。大学では勉強もしたくて、アスリート選抜で立教大学に入学しました。それで「スポーツ政策」などスポーツ関連の講義を受けていくうちに、社会学と合わせてこれらの学びは、将来スポーツ界で役に立つのではないかと思うようになりました。
日本のバレーボール選手はレベルが高いですが、他国と比べたらビジネスとはまったく結びついていなくて、これからバレーボールをやろうとする子供たちのビジョンを広げるためにも、もっと業界が発展しなくてはいけないと考えていました。アスリートとしてやってきた自分なら、スポーツを通じた社会貢献ができるかもしれないと思い、さらに勉強するためにイギリスの大学院へ行くことを決意しました。
久保田
実は、私は最初、食品関係の企業に就職しようと考えていました。(大学で学んだ分野と違う道を模索していた理由は)希望していた貧困や格差など深刻なテーマの講義を受けているうちに、仕事と直結させたら自身のプライベートな部分にも影響が出てしまうかもしれないと感じていたからです。ですが、自分の想像以上に民間企業は利益最優先である様に私の目には映ったので進路を考え直し、直前で初心にかえり公務員を目指しました。
友井
「社会」ってとても広くて大きい。私のように入り口は漠然としていても、好きなこと興味のあることを広くやりながら、それをだんだん狭めていって、狭めるうちに進みたい道にぴたっと照準が合ってきました。学部に縛られず、自分の興味関心に合わせていけるのは、立教大学社会学部ならではだと思います。
久保田
そうですね。それで私は3年次の10月に急に方向転換をして、公務員試験を受けることにしたのですが、キャリアセンターを通して立教大学OBの方に大変お世話になりました。試験まで半年くらいしかなかったので予備校に行く時間も資金もなく、試験対策や公務員の現状などいろいろな役立つ情報をOBの方から教えてもらいました。キャリアセンターではエントリーシートの添削や、面接の練習もしてもらえるし活用しない手はないですね。
佐藤
私もオンラインで、キャリアセンターの「留学と就活の両立方法」の動画を見て参考にしました。それで就活を早くから始めて、内定が出たあと4年次の夏に2か月短気留学に行きました。就職の心配はなかったのですが、そのときは一度決めていた卒業論文の方向性を転換したので、留学から戻ってからその軌道修正が待っていました。
稲川
卒業論文は、自分で研究テーマを決めて、先生と相談しながら方向性や調査法を決めるなど、とにかく能動的に考えますよね。物事に対して、自分から疑問を持って「これはそうではなくて、こうなのではないか?」という仮説のもと、社会学的な道筋で考えながら結論に持っていく。
最初は難しいと思っていましたが、興味のあるテーマが決まったら早かったですね。自分が趣味で行っていたキャンプコミュニティの活動を舞台に「中年の危機」というキーワードからまとめました。愛着があり過ぎて、6万字超えの大作になってしまいました。
友井
私は自身のアイデンティティにも関係する「ハーフ」を題材にしました。同じハーフでもルーツがアジア系か、私のようにアフリカ系かで本人はどのような意識を持っているのかなどについて調査をしました。
大学では自身を構成するトピックであるジェンダー、エスニシティ(人種)、スポーツを中心にさまざまなことを研究してきました。バレーボールの部活動も成績を残しましたし、すべてやりきりましたが、私の場合は高校まで勉強に費やす時間が少なかったので、まだまだ足りない!(笑)。大学院でもう1年がんばります。
佐藤
私は、映画好きが高じてずっと映画館でアルバイトをしていたこともあり、卒業論文は「映画鑑賞」が題材でした。作業は大変でしたが、終わってみると4年間の集大成というだけあって、大学生活をしめくくったなと達成感を味わっています。
帰国子女が多い国際社会コースは、向上心があって、キビキビとした積極的な仲間ばかりだったので、よい影響を受けました。石橋を叩いて渡るおっとりタイプだった私が、多角的な視点を持って、いろいろなことに積極的にチャレンジできた4年間でした。
稲川
私は図書館のホワイトボードがあるブースがお気に入りで、よくゼミのメンバーと意見交換をするために利用していました。さまざまな意見を聞くことで、自分の考えを広げることができましたし、卒業論文にも役立ちました。立教大学で学び、幅広い知識を身につけることができたので、これから自信を持って社会に飛び出して行けそうです。

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