社会学部国際社会コース(現代文化学科所属)3年の平野輝さんにインタビュー

国際社会コース 平野輝

2024/04/24

在学生

OVERVIEW

社会学部現代文化学科国際社会コース3年の平野輝さんに、立教大学での学びについて語っていただきました。

国際的な舞台で社会的に弱い立場にいる人たちに寄り添い、問題を解決する人材として働きたい

入学の目的は「文化が共生するコミュニティの形成」を研究するため

立教大学はすべての学部に自由選抜入試が設けられており、高校時代にドイツでの留学経験がある私にとっては、絶好の機会でした。また、私が夢見ていた海外のようなキャンパスライフが実現できるような校舎も魅力のひとつでした。

そして立教大学において現代文化学科を選んだ理由は、グローバルな視点とローカルな視点を網羅的に養うことができ、私の将来の目標である「文化が共生するコミュニティの形成」に、最適な学部であると考えたからです。

現代文化学科では、現代文化に迫る4つの領域を挙げており、その中のひとつ「都市とコミュニティ」からエスニシティ論を深く理解し、文化共生社会に対する構想力を培いたいと考えていました。また、国際社会学に精通する教授のもとで、他国のエスニック・コミュニティと共生への歩みを比較しつつ、移民側の視点の追求を目的として、社会学部現代文化学科を受験しました。

さらに国際社会コースという、もう一段階進歩した環境のもとで英語を体系的に身に着けたいと考えました。

不可視の文化について考えた「現代文化論」

1年次、エスニック・コミュニティの変容などが主な研究テーマの、水上先生が担当する「現代文化論」の講義を受けました。これまでの文化の枠組みを一度とり払い、新たな視点でとらえる現代社会の追求を目的としているもので、最終課題では、50ほどあるお題の中からひとつを選び、6人ひと組のグループワークが行われました。

私たちは、「太陽を撮る」というテーマを選択し、太陽の写真を1日2枚、2日間続けて撮影しました。そこから心情の変化などをスライドに作成して表現。全体発表を行いましました。この講義を通して、食や慣習など目に見える文化だけではなく、普段生活していても感じることのない概念でさえ、現代文化であることに気づかされました。

この講義では、多くの学生が受講する大講義にも関わらず、個人にフォーカスした時間があるのも魅力のひとつでした。これは、学生ひとり一人がスライドを作成して提出する最終課題のことで、テーマは「私の芸術」です。私は高校時代に作成した、靴箱の中に作った有名絵画のジオラマを題材にしました。

不可視の文化こそが現代社会の構成を助長しているという学びがあり、また独創性が問われる講義でもあり印象に残っています。

難しい英語文献を読解し発表、ディスカッションでも英語力を磨いた

2年次の「Reading Sociology in English」は、国際社会コースの学生対象で行われる、ゼミの前段階の演習です。講義名のとおり、社会学を英語で理解するために、文化人類学の英語文献を解読します。

例えば、日本語で文化人類学の文献を読解しようと試みても、学生には専門用語が多く理解に苦しむことが多いと思います。それをさらに英語で読もうというのですから、英語を日本語に変換、その単語の意味を調べるという二段階の作業が必要でした。

その面では大変でしたが、今後のゼミ発表などで行うレジュメの作成や、発表までの一連の手順を学ぶことができました。文化人類学を通して醸成された集団の価値観の経緯などは、今後の研究に活かせる点が多くありましたし、現代の社会の礎となった文化人類学を改めて学習することで、社会に対する新たな視座を手に入れました。

3年次では、より高度な英語講義もあり鍛えられました。「Lecture&Discussion on Social Issues B」は全授業を英語で行い、レストランをテーマに社会問題を紐解いていきました。また、ひと講義の半分以上の時間は英語でのディスカッションが行われ、積極的な参加が求められます。この講義は留学生も履修可能なので、外国人ならではの視点から意見を聞けるのはとても貴重な機会だと思います。高度なネイティブイングリッシュを聞くことができたため、基礎的な英語能力向上も望めます。また、最低でも週に1回英語で会話をする機会を設けられたので、継続して体系的な英語学習ができました。

もっとも研究したかった難民教育や支援についてまとめた卒論

大学入学にあたり「文化が共生するコミュニティの形成」について学びたかった私は、国際社会学を研究する石井ゼミに入りました。

そのポイントは2つ。ひとつは、本ゼミが掲げるトピックのうちのひとつ「『日本人』と『外国人』の境界の曖昧化」で、双方からの視座を深く理解したうえで、文化共生社会に対する構想力を培いたいと思いました。ふたつ目は、さまざまな背景を持つ移民にとって、アイデンティティは各個人が自己主張するうえで欠かせないものです。そのため「アイデンティティの多重性や可変性」について、独自性の尊重と存在意義の重要性を学習したいと思いました。

それらも踏まえ、現在取り組んでいる卒論が「避難民キャンプの実態調査と、人格教育の開発援助のアプローチ」です。これは、高校時代のドイツ留学の経験から決めたテーマです。私が留学していた当時、ドイツ国内には受け入れられたシリア難民が、現地人と同様に生活をしており、日常的に見ても違和感がない状態でした。しかし、市内では難民による犯罪件数が増加していました。ですから難民反対派によるデモが後を絶たず、新党が台頭するなど市民の不満は溜まる一方でした。

難民を受け入れると、受け入れ国内にトラブルが起きる。その理由として、難民送り出し国での人格形成の教育が不十分ではないかという仮説を立てました。他国に逃れたあとの格差拡大により、不安定な生活を余儀なくされた難民に対して、道徳に特化した教育を促進することで軋轢を軽減し、現地の国民との共生・第二の人生を支援できるのではないかという提言を行います。

大学創設者・ウィリアムズ主教は「道を伝えて己を伝えず」という言葉を後世に残しています。主観的ではなく、他者や社会への貢献を第一に考える謙虚な姿勢に感銘を受けました。私は立教大学の、多文化共生社会や移民問題などといった社会学を高度な英語で学ぶことができる充実したグローバル教育に惹かれ、国際社会コースを履修したいと考えました。

社会学部では、社会変化に適応した問題解決力や、他者理解力について学びました。今後私は、社会的に弱い立場にいる人たちに寄り添い、問題の解決へと努めるような海外駐在などで、国際的に活躍したいと考えています。

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