社会学部メディア社会学科4年の猪野 洸太さんにインタビュー

メディア社会学科 猪野 洸太

2021/11/01

在学生

OVERVIEW

社会学部メディア社会学科4年の猪野 洸太さんに、立教大学での学びについて語っていただきました。

社会学を知りメディアを知ると物事の本質が見えてくる

社会学を理解したうえで、メディア業界に進みたい

大学進学にあたり「もっとも興味があり、身近に感じる分野」は何かを考えました。それが自分にとっては、幼いころから常に生活の一部であったテレビや新聞・雑誌などのメディアでした。将来、マスコミ関係に就職したいと考えていたこともあり、メディア社会学科はいちばんイメージしやすい学科でした。しかしそもそも、社会学が何かをしっかりと理解していなかったので、そこは基礎から学びたいと考え、そのうえでメディアがどのような変化をもたらしてきたか、国内外のメディアの歴史、これからの動向についても学びたいと考えました。

社会の影響は個人にあらわれる

「基礎演習」は、研究テーマの選び方や深め方、発表方法など一連の流れを学ぶことができたので卒論まで役立ち、また、自分の成長を感じました。ほかの社会学部の学生と初めて議論した授業でもあったので、とても印象に残っています。
高校時代の勉強は、受け身中心だと思います。しかし大学では、興味のある分野を自分で選び、自分でテーマを決めて調査し、最後の発表までのひと通りを能動的に行なわなければなりません。それを1年次の「基礎演習」で体験できたことにより、2年次以降の学びがスムーズに進みました。
ほかにも「社会学原論」では、わかりやすい事例をもとに「社会の影響は個人にあらわれる」ことを知りました。社会学は抽象的ですし、それまで、世の中の現象について「なぜそのようなことが起きるのか」という疑問を抱いたことがありませんでした。1年次は、社会学の基礎、考え方を少しずつ学ぶうちにその面白さがわかってきました。

知らなかった社会問題に触れ「世の中に伝える」意味を考えた

2年次の「映像メディア論」は、過労死や自殺など、重いテーマのドキュメンタリー映画を観て、そのあとにコメントペーパーに感想や意見を書いて提出する授業でした。合計で10数本の作品を見ましたが、自分がそれまで知らなかった社会問題を、数多く知ることができ、またそれらについて考えるようになれたことは大きかったです。放送作家の経験もある先生の解説により、ドキュメンタリーはカット割り、編集、音声まで「作り手の意図」が含まれること、ゆえに印象操作も可能であることを知り、観る側のモラルや知識も問われることに身が引きしまる思いでした。
そして、ジャーナリズムの本質である「知らせる役割」を理解することができ、興味深い授業でしたね。それまでは一方的に情報や映像を受け取るだけでしたが、制作意図を探るようになりました。

メディアを学んだからこそ就職の道が見えた

現役の新聞記者の方をゲストスピーカーに迎えた、3年次の授業「若者とメディア」では、現役のメディア関係者ならではの、興味深いリアルな話を聞くことができました。
出版不況といわれる昨今、若者の活字・新聞離れが深刻になっています。紙とデジタルのせめぎ合いも、今後どうなっていくのか。書籍でいうと、社会において書店という場所の重要性が高いこと、権力を監視する立場にある報道機関、プロのジャーナリストはなくてはならない存在であることなど、どの話も考えさせられることばかりでした。
自分は今、希望だった全国ネットの放送局へ就職が決まりました。入学前から漠然と、就職先はマスコミ関係へと思っていましたが、大学でこうして報道・メディアについて考える機会を与えられたからこそ、進みたい道が明確になったのだと思います。配属先部署も希望通りになりました。内部で働く人をサポートし、制作側と視聴者をつなぐ調整役として企画・提案を行うことができる、マネジメント部門で働くことになりました。たぶん地方勤務からのスタートになるので、その土地の人がどのような情報を求めているのか、何を発信すればよいのかを考えて仕事をしたいと思っています。

ライフワークのスポーツを研究テーマに据える

3年次での所属ゼミは「多文化主義とメディア」が研究テーマの、林ゼミでした。民族、ジェンダー、マイノリティなどの多文化と、メディアの関係性について研究するゼミです。林先生は、自由に何でも受け入れてくださる方で、枠にとらわれずテーマは自由に設定してよいという方針でした。しかしそれは、雲をつかむような話です。まずは自分が何に興味があるのか、何を研究したいのかを考えなくてはいけません。そのテーマ設定がとても有意義でした。
自分は高校時代、野球部でピッチャーでした。大学でも続けたかったのですが、故障により陸上部のやり投げに転向。関東インカレ(学生陸上競技対校選手権大会)で入賞したこともあり、大会運営などを担当する主務を1年間務めたこともあります。筋トレが趣味であることも含めて、以前からスポーツは自分の生活の一部です。
そのようなことから、3年次後半の共同研究は「スポーツの中のジェンダー」に決めました。これは、スポーツチームにおけるマネージャーが女子であるのはなぜか?に着目した研究です。マネージャーとは本来、組織の運営などを担う役割であるはずですが、日本ではなぜか雑用・補助的な役割です。その裏には、監督・コーチの大き過ぎる権力、また、日本の家庭における専業主婦の歴史も絡んでいるのではないかなどの考察を行いました。確かに「ジェンダー」の視点から見れば、自分の中にも「マネージャー=女子」という思い込みがあることに気づかされるなど、研究はいつも発見があります。
このテーマは卒論へと発展させることができ、自由な中でのテーマ探しが定まったという点では成功したと思います。

100名以上のアンケート調査を行う

共同研究を経て、卒論では自分が続けてきたスポーツをテーマに「部活における勝利至上主義」を研究することにしました。現在はすでに、スポーツにおける体罰はあってはいけないことですが、以前は当たり前のように行われていました。それは勝利に必要だったのでしょうか?
この問いを、データや文献、先行研究からその背景と現状を把握し、アンケート調査から原因を探ることにしました。社会調査法で学んだアンケートの方法を使い、質問の最初は単純なものからはじめ、「体罰を受けたことがありますか?」という確信に迫る質問は、最後のほうにしました。部活経験者100名以上の方々に協力していただき、やりとりはグーグルフォーム上で行いました。アンケート調査は、質問の聞き方や回収など苦労も多かったのですが、意外な答えを得ることができました。
私は、部員の中には体罰への刷り込みがあり、監督やコーチのことをよくは思っていないのだろうという仮説を持っていました。しかし、実際には「結局は勝ったから肯定される」「監督やコーチのことは尊敬している」などの意見もあり、これらの事実は聞いてみなければわからないことでした。

4年をかけて学びが完成するトータルカリキュラム

4年間を通して体感したことは、立教大学の学びは、トータルでとてもよいカリキュラムだと思ったことです。1年次の「基礎演習」では、社会調査法など具体的なハウツーを学べたため、2年次「専門演習1」でその知識や手法を実際に使うことができました。その後フィールド実習や、専門演習2、卒論までの流れがあり、年を追うごとにステップアップしていくように組み立てられています。ですから卒論は、4年間の学びをすべて集約して完成させることができ、実りあるものとなりました。
また、お世話になったのは大学の図書館ですね。ゼミの研究などのたびに利用しました。蔵書の数が豊富で、データベースで論文を探して見ることができます。ラーニングアドバイザーが常駐しているので、わからないことを聞くこともできます。就活のときも企業研究やエントリーシートを書いたり、最後まで利用させてもらいました。

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