社会学部現代文化学科の大矢知 梨花さんにインタビュー

現代文化学科 大矢知 梨花

2021/11/01

在学生

OVERVIEW

社会学部現代文化学科の大矢知 梨花さんに、立教大学での学びについて語っていただきました。

自分の「好き」を学問と結びつけていくと自然と道筋が見えてきた

経営寄りの授業を受けることができるのが立教らしさ

中学から高校まで6年間、ダンス部の活動に打ち込んでいた私は、次に大学で何を学びたいのか定まっていませんでした。ですから、幅広い分野にわたる授業が受けられる社会学なら、自分が興味を持てるものが見つかるかもしれないと期待しました。そして、身近でイメージしやすい衣食住・文化・流行といった分野から学べる現代文化学科は、私に合っていると思いました。
とくに、ファッションに興味があったので「流行論」などを選びましたが、社会学部でありながら「現代のビジネスを学ぶ」のような、経営学寄りの授業もとれるところが立教らしさですよね。会社や組織の仕組み、企業目線の考え方など、ふだんは触れることができない知識や視点を得ることができました。

やりたいサークル4つに所属してみたところ・・・

1年次はやりたいことがたくさんあり、サークルに4つ入りました。私は立教女学院出身なのですが、自立心が強いクラスメイトが多くボランティア活動をしている人もいました。この頃からボランティアに興味があったのですが、部活動で忙しく余裕がなかったため、大学ではぜひやりたいと思いボランティアサークルに入りました。ほかはダンス、広告研究会、ギターです。ダンスサークルは、母校の女学院で中高生のコーチを引き受けることになったのでやむを得ずやめ、結局はボランティアサークルだけが続きましたね。さすがに4つはできませんよね。私、詰め込みタイプなんです(笑)。

グループディスカッションで刺激を受けた小規模授業

2年次でよかったことは、20~30人の小規模授業「市民が動く、社会が変わる」を選んだことです。座席は自由。周囲の学生とグループをつくり、自己紹介から始まりテーマに沿って議論、発表するスタイルがとても刺激的でした。グループも頻繁にシャッフルするので、新たな友だちも増えました。市民が自主的に行うデモやボランティアなど、テーマを通してその歴史を知るなど、自分ごととして考え意見をつくる基本スキルを身につけることができました。

大学を飛び出し海外や東北のフィールドに出た

大学生活では、とにかくいろいろな場所へ出かけていきました。ボランティアサークルで、1年次にはプロジェクトのメンバーとして、2年次にはリーダーとしてインドやスリランカの貧困地域に2週間ずつ滞在。十分な住まいもない住民のための家を造る活動を行いました。セメントに砂や砂利などを混ぜるところから作業をするなど、肉体労働です。家を造るといっても日本とは比べものにならないくらい簡素なもので、大きなコミュニティの中の数軒を手がけました。
また、東北にも3回ほど行き活動しました。「自主講座」では岩手県大槌町で町づくりに関わる様々な人々にインタビューをしたり、「傾聴の会」という被災者が主となって活動しているボランティア団体にお話を伺ったりしました。ボランティアサークルでも、南相馬市に足を運び、そこで在宅被災者の存在を知り、その方々の支援を行っているボランティア団体でお手伝いをしました。
3年次、フィリピンをフィールドとしている太田先生のゼミの夏合宿では、同国のセブ島の貧困地区にも行きましたね。そこにある社会問題について住民の方々に英語でインタビューを行い、日本と比較をするため、東京の簡易宿泊所街である山谷地区をいっしょに取り上げレポートにまとめました。

社会学部はフリースタイル。好きなものを自分の裁量で学ぶ

大学の授業ではなるべく自分の興味と合う、ファッションや流行、文化に関するものをとりつつ、ボランティア活動やダンスのコーチを行い、アパレルショップでアルバイトもしていました。社会学部のよいところは、好きなことと学問を結びつけられるところ。そして経営学部のようにグループワークのボリュームが多くないので、自分の好きなことを自由にスケジュールに組み込めて、いろいろな活動を並行させることが可能です。
もうひとつよいと思ったのは、全学部共通科目です。学部に関係なく、興味関心に合わせて受けることができて、とてもよいシステムだと思いますね。毎回ゲストスピーカーとして、立教出身の社長や実業家の方などを迎え、興味深いお話しに触れ、視野を広げることができました。大学主催の映画上映会など、活用できる企画が数えきれないくらいあって、常にアンテナを張っていれば、いくらでも大学生活を充実させることができます。

大分の縫製工場で1ヵ月のインターンシップ

じょじょに社会問題にも興味を持ち、ファッションに的が絞れてきた2年次。たまたまネット広告で見つけた「地域ベンチャー留学」というプロジェクトに応募したところ、大分の縫製工場にインターンシップで行くことになりました。1カ月間、住み込みで働くわけですが、そのコンセプトは、企業が抱える問題を経営者といっしょに解決することでした。工場で働く外国人労働者と日本人のコミュニケーションや、作業ミスの問題、海外工場に押され、日本の縫製工場はどう生き残りを図るのかなどについて考え、最終的には地元の高校生を招き、報告会を行うまでを体験しました。短い期間でしたが、ファッション業界の裏側にある社会問題に触れた、貴重な1ヵ月でした。
ほかにもセール品の売れ残り、貧困国での労働搾取など、アパレル業界の問題点はまだたくさんあると思うので、この経験を活かせるようにもっと力をつけなければと、気持ちを新たにしましたね。

小売業の仕組みを学んだ「リテイル・マーケティング」

4年生の「リテイル・マーケティング」は、就活を意識して受けた授業です。先生は大手アパレル会社出身の方で、アパレル企業を例に取り上げながら、小売業の仕組みを学んでいく授業でした。そのころ就職活動でアパレル企業を見ていた私にとって、小売業やアパレル企業の構造を知ることができたのはとてもよい機会でした。

社会学のおもしろさを実感した卒論執筆

卒論は「コロナ禍で成長を続けるアパレル企業の成功要因」をテーマにしました。これは、コロナ禍で不調が続くアパレル業界において、業績を伸ばしている日本の作業服ブランド「ワークマン」と、米国のEC特化型ブランド「エバーレーン」の2ブランドを例に取り上げました。このブランドが成長している要因には、どのような消費者意識が存在し、なぜ、どこが受け入れられているのかを文献やデータをもとに探りました。
執筆途中で、先生に「話が経営に寄っているので、もう少し社会学にフォーカスしたほうがいい」とのアドバイスを受け、ファッションにおいて社会学を論じる本を新たに読みました。私はその本を読み終えたとき、1年次の「社会学原論」のことをふり返りました。そのときは入学直後で、高名な社会学者の言うことが理解できず「社会学原論」は本当に面白くないと思っていたのです。しかしこのときはじめて、自分の好きなファッションと社会学がつながり「社会学っておもしろい!」と目が覚めるように理解できました。

就職先で社会に貢献できる仕事をしていきたい

目一杯のメニューを詰め込んだ私の大学生活は、大手アパレル企業への就職内定という形で実を結びました。とくに今、興味があるのはバイヤーです。ありがたいことに大学生活の中で、さまざまな社会問題を目の当たりにし、向き合う機会をいただけたので、いつか好きな仕事を通して、社会問題解決に貢献できる人材になりたいと考えています。
ファッションバイヤーは、海外の未開拓な魅力を掘り起こす仕事でもあります。例えば、発展途上国の人々が作る魅力的なアイテムを見つけて、それを日本に仕入れることができれば、経済的にその途上国を支援できます。実際に、アフリカンプリントのブランド「リッチー・エブリデイ」を立ち上げた仲本千津さんという方は、ウガンダに工房を開設し、雇用の機会がほとんどない地元の女性たちに働く場を与えるなどの貢献を行っています。彼女ほど大きなことができるかはわかりませんが、将来的には、大学で学んだ「社会問題に向き合い考える」力を活かして、ファッションで発展途上国の支援につながるようなことができればよいなと思っています。

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