座談会

社会学科 渡辺健吾 Watanabe Kengo 現代文化学科 大矢知梨花 Oyachi Rinka メディア社会学科 猪野洸太 Ino kota 国際社会コース 柏木彩織 Kashiwagi Saori

2021/11/04

在学生

OVERVIEW

幅広い分野を扱う社会学部へと、志と希望を持って入学した各学科のみなさん。
彼らは多彩なプログラムをどのように吸収し、何と出会い、何を得てきたのでしょうか。
学内外の充実した大学生活をふり返りながら、社会学部で学ぶ意義や喜びについて、
座談会形式で大いに語っていただきました。

大矢知
1年次の必修「社会学原論」で、マックス・ウェーバーなど高名な学者の理論などを勉強しましたが、当初は難しくてよくわかりませんでした。社会学は、最初はとらえにくいですよね。それが卒論を書く時期になり、ファッションを取り上げた社会学の本を読んだとき、まさに社会学の概念とファッションの流行は結びついていることを知りました。関係ないと思っていたことがつながり、あらためて「社会学っておもしろい!」と思いました。
猪野
私も3年次の「ニュースの社会学」という授業で同じような体験をしました。例えば「自殺論」は、一見個人的な問題のように思えますが、市町村、社会の影響が個人にあらわれているなどがわかりやすい事例でした。社会学の理論を現代の具体例に置き換えると腑に落ちますよね。
柏木
社会学部は、自分で興味関心を見つけて、自分で学びを選択しますよね。自分の「好き」をベースに探りながらフィールドへ出てインタビューをしたり、ディスカッションしたり。学科によってはインターンを経験するなどしているうちに、1年次の学びがじわじわとわかってくる。そんな楽しさがありますよね(笑)。
大矢知
そう、じわっとくる! 4年間をかけて楽しさや理解が深まる学問ですよね。自分の好きなものを結び付けていくうちに、新たなものに出会って、また別な興味につながり、さらに広がったり。そして身近なことを取り上げることが多いから、自分ごととして置き換えて考えやすいです。世の中にあるさまざまなことについて、考えるようになりました。
猪野
自由度が高いからこそ、テーマ設定が難しくもあり有意義でもありました。自分は高校で野球、大学で陸上や筋トレとスポーツに打ち込んできたので、スポーツにおけるジェンダーや、勝利至上主義などを取り上げて研究することができました。
テーマを決め、先行研究を行い仮説を立て、調査を経てまとめて発表するまで。ゼロから最後まで一連の工程をすべて自分で考え、形にする力をつけることができますよね。
渡辺
私は高校3年生のとき、塾の先生から「社会学は、生きていくうえで必要な視点が養われる学問だよ」と聞いて、社会学部を選びました。社会学って、がっちりとした専門知識を身につけなければならないというものではなく、テーマを追求する工程の中で「社会の見方」が身につく学問だと思います。別な言い方をすると「これをやりたい!」までのベースを学んでいるような、今すぐ役立つというよりも、これから長く使えると思いました。
柏木
これしか勉強できないということがなくてフレキシブル。生涯にわたり役に立つし、いつでも方向転換がOKです!
猪野
人がいればそこが社会。いろいろな分野があるけれど、経済や観光などすべてが社会学におさまると思います。自分はお笑いが好きなのですが、それも、社会を理解していないと笑えないことがあります。
メディア社会学科は、ほかの科よりも多少方向性がはっきりしていますが、社会学そのものはすそ野が広いから、将来的にどのような方向にでも進んでいけると思います。
渡辺
その通りですね。立教大学には、ボランティアセンターがあり、活動に支援金が出るなどボランティアを積極的に推進しています。私はその点も、入学の決め手でした。被災地である東北に行くため1年次からボランティアサークルに入り、2年次では部長も務めました。自主講座なども含め何度も東北へ通い、それがライフワークになり、ゼミの研究や卒輪にもつながりました。学びも学外の活動も、環境が整っているのが立教のよさですよね。
柏木
私も渡辺さんと同じです。ニュージーランドに留学しているとき、現地で「東日本大震災後、日本はどうなの?大丈夫?」と数多く聞かれました。そのころ自分は東北や被災地について何もわかっていないという想いがあり、それを知るために日本の大学に進学しようと帰国したのです。
立教に入ってからというもの東北のことが知りたい、行ってみたいという気持ちがモチベーションになって「災害の社会学」や「地域社会学」などの授業を選びましたね。東北がフィールドになり、陸前高田のサテライトキャンパスも含めて4年間で15~16回は通い、第2の故郷になりました。
大矢知
私もボランティアサークルに入っていました。面白かったのは「ボランティア論」の授業を受けたときに、サークル活動とはまた違った視点を得られたことです。あらためて、自分の活動を見直すきっかけになりました。東北でフィールドワークを行う自主講座は、社会学部でなければ受講できないので、この学部を選んでよかったと思えた授業でしたね。
社会学部は授業もゼミも自由なので、やりたいことを見つけたら飛び込む。選べる楽しさがありますよね。そして先生方々も、学生の自主性を最大限に尊重してくださいました。
渡辺
そうなんです。1人ひとりの個性をとても尊重してくださるから、その結果、学生は勝手にやる気が出てきてしまうんですよ。勉強面だけではなく学外活動、サークルやアルバイトもひっくるめて、社会学部の学生という見方をしてくださいます。
柏木
環境がそうさせるのか、自分の中の強みや個性を見極められるというか「まわりがやっているから」ではなくて「自分はこれがやりたい!」という気持ちにさせてくれますよね。
猪野
私はゼミが、台湾人の林先生でした。台湾での合宿では、現地でメディアを学ぶ学生たちと議論を行うなど、とても刺激を受け世界が広がりましたね。このような体験ができるのは、先生が研究を重ねてきたフィールドや実績があって、その恩恵を私たちが受けられたわけです。先生方1人ひとりが専門領域を持っていらして、蓄積してきたものを惜しみなく学生のために与えてくれますよね。
大矢知
私は太田ゼミの夏合宿の際、先生のフィールドでもあるフィリピンで、セブ島の貧困地区を調査しました。現地の人と触れ合う貴重な体験でしたし、研究を少し発展させ、東京の簡易宿泊所街である山谷地区との比較までを行いました。
また卒論ではアパレル2社を取り上げたのですが、最初は内容が少し経営寄りになっていて、太田先生に「もう少し社会学的に」というアドバイスをいただきました。それがきかっけで出会った本が、先ほどもお話ししたファッションに関する社会学の文献でした。この文献との出会いが、自分の好きなものと社会学がひとつにつながった瞬間でした。
柏木
そうなんです。私も卒論のテーマについて野呂先生に相談したとき「銭湯が気になっている」と伝えたら、出てきたキーワードが「サードプレイス」でした。そこで一気に追求するべきテーマの焦点が合ったというか。先生が積み上げてきた知識のエッセンスから、ヒントをポンと投げて背中を押してくださいました。
渡辺
先生方は、理論はもちろんフィールドワークの重要性を強調されていますが、それを肌身で感じた4年間でした。先行研究を行い仮説的に考えていたことは、現地へ行くと予想外のことがよくあります。正解はひとつではないと思いますが、当事者の話を聞かなくては正しい理解が得られないことを実感しましたね。私自身、入学前にはこれほど充実した学生生活を送ることができるとは思わず、予想外の楽しさでした。

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