社会学部メディア社会学科4年の筒井 円香さんにインタビュー
メディア社会学科 筒井 円香
2022/05/05
在学生
OVERVIEW
社会学部メディア社会学科4年の筒井 円香さんに、立教大学での学びについて語っていただきました。
メディア・出版から教育へと興味がシフト 学生を応援してくれるベストな環境が整う大学
入学当初は出版業界を目指し メディア社会学科に入学
立教大学を選んだのは、母が立教大学出身でよく在学時の話を聞いていたことや、立教大学に進学した知り合いが多く、馴染み深かったからです。また、私は高校の公民の授業が好きでした。人権や憲法、18歳選挙権など、社会の先生が生徒に考えさせる具体的な授業を行ってくださったおかげで、実生活にかかわる社会問題について詳しく学べる学部に進学したいと思っていました。
そしてメディア社会学科を選んだのは、学ぶことや読書が好きで、家族が出版社に勤めていたということもあり、出版業界への就職を考えていたからです。報道や取材姿勢などついて疑問に思うこともあったため、ジャーナリズムを学んでみたいとも考えていました。
そしてメディア社会学科を選んだのは、学ぶことや読書が好きで、家族が出版社に勤めていたということもあり、出版業界への就職を考えていたからです。報道や取材姿勢などついて疑問に思うこともあったため、ジャーナリズムを学んでみたいとも考えていました。
初めてICT教育に着目した「基礎演習」
1年次の「ジャーナリズム論」の中で、「ジャーナリズムの使命は権力を監視すること」という授業内容がとても印象的でした。今でもニュースを読むときに、この授業で学んだことを毎回思い出しています。現在の、主にテレビの報道機関は国など権力をチェックできているのか、ジャーナリズム本来の役割を果たしているかなど、考えるきっかけになったほか、私自身が普段の生活で必要以上に権力側の考え方になっていないか、意識する習慣が身につきましたね。今は既存の大手メディアよりも、ネットのニュース記事など、個人名で記事を書いている人のほうが、踏み込んだ発言をしているように感じています。
また、1年次におけるゼミの一環として「基礎演習」がありました。このとき、社会のデジタル化が進むなか、私が以前から興味があったICT教育をテーマに、3人グループで研究を行いました。ICT教育とは、教育現場で活用される情報通信技術やとり組みのことです。具体的にはパソコンやタブレット端末、プロジェクタ、電子黒板などのハード機器から、オンライン授業やデジタル教科書まで多岐にわたります。自分の出身高校では、私よりも下の代から1人1台、タブレット端末が配られており授業で使っていました。そこで、母校ではそれらの有効活用ができているか、どのような教科で使っているかなどインタビューをとり、生徒はどう感じているのかなどの調査を行いました。
電子黒板について聞いてみると「便利だと思ったが、紙のほうが使いやすい」など予想外な答えもありました。また、先生がパワーポイントでスライドを用意していた場合、先生が黒板に板書を行う手間が省けるというメリットや、パワーポイントを生徒に共有すると、生徒もノートをとる時間が省けるなどのメリットがあります。しかし、やはりこれも予想外に「書くことで覚える作業ができない」「ノートの位置や教科書の位置で覚える方法が使えない」「試験対策がしにくく、使いにくい」という意見もあり、ICT教育を導入すれば、すべてが効率化されよいことばかりではないことがわかりました。この調査を始め、一連のプロセスは、卒論にそのまま活用できる作業だったので、1年次で体験しておいてよかったことのひとつでした。
また、1年次におけるゼミの一環として「基礎演習」がありました。このとき、社会のデジタル化が進むなか、私が以前から興味があったICT教育をテーマに、3人グループで研究を行いました。ICT教育とは、教育現場で活用される情報通信技術やとり組みのことです。具体的にはパソコンやタブレット端末、プロジェクタ、電子黒板などのハード機器から、オンライン授業やデジタル教科書まで多岐にわたります。自分の出身高校では、私よりも下の代から1人1台、タブレット端末が配られており授業で使っていました。そこで、母校ではそれらの有効活用ができているか、どのような教科で使っているかなどインタビューをとり、生徒はどう感じているのかなどの調査を行いました。
電子黒板について聞いてみると「便利だと思ったが、紙のほうが使いやすい」など予想外な答えもありました。また、先生がパワーポイントでスライドを用意していた場合、先生が黒板に板書を行う手間が省けるというメリットや、パワーポイントを生徒に共有すると、生徒もノートをとる時間が省けるなどのメリットがあります。しかし、やはりこれも予想外に「書くことで覚える作業ができない」「ノートの位置や教科書の位置で覚える方法が使えない」「試験対策がしにくく、使いにくい」という意見もあり、ICT教育を導入すれば、すべてが効率化されよいことばかりではないことがわかりました。この調査を始め、一連のプロセスは、卒論にそのまま活用できる作業だったので、1年次で体験しておいてよかったことのひとつでした。
大学生らしく専門性の高い「社会調査法3」 データ分析のおもしろさを知る
2年次の「社会調査法3」は、私が受けた中でもっとも専門性の高い授業だったので印象に残っています。たくさんのデータを組み合わせ、テーマ設定をして論文を書くもので、データ分析を学びました。私は「結婚の有無と外食頻度の関係」をテーマにしました。結婚の有無、外食頻度、年収など20ほどのデータを組み合わせて論じたのですが、結論的には、未婚の人ほど外食している傾向がみられました。既婚の人は奥さんが作っているから?でしょうか?
この分析で2つ以上の質問項目の回答をかけ合わせる集計方法・クロス集計や、関連する2つの変数に、別の変数を導入して関連を詳しく見る分析法・エラボレーションなど、今までまったく知らなかった分野にふれ、そして、研究対象の量的な側面に着目する量的調査のおもしろさに気づくことができました。たくさんあるデータをどのように分析していけばよいのか、流れや分析方法、考え方など卒論の書き方にとても近い授業であり、大学生らしい専門的な授業だったので、大学に来てよかったと思いましたね。
この分析で2つ以上の質問項目の回答をかけ合わせる集計方法・クロス集計や、関連する2つの変数に、別の変数を導入して関連を詳しく見る分析法・エラボレーションなど、今までまったく知らなかった分野にふれ、そして、研究対象の量的な側面に着目する量的調査のおもしろさに気づくことができました。たくさんあるデータをどのように分析していけばよいのか、流れや分析方法、考え方など卒論の書き方にとても近い授業であり、大学生らしい専門的な授業だったので、大学に来てよかったと思いましたね。
論文や調査に必要なパソコン技術を獲得
2年次に履修した「情報処理1(入門)」は、パソコンスキルを上げることができました。高校でも情報の授業があり、パソコン操作には慣れているつもりでしたが、知らないスキルや知識がたくさんありました。例えばGIF画像を作る、写真をトリミングする、論文を書くときに必要なWordの脚注の付け方や、必修の社会調査法で必要なExcelの関数、英語や演習で必要なPowerPointの使い方など。ほかにも、ショートカットキーの機能についてや、画面の一部をスクリーンショットする方法、拡張子やzipファイルの圧縮・解凍、ブラインドタッチの練習もしました。
webデータ分析のゼミに入り さらにICT教育を追求する
入学時の進路は、出版業界を目指していましたが、大学生活でさまざまなことを学ぶうち、その考えも変化しました。自分が読書好きなのは、学ぶことが好きだからであり、出版の仕事は本当にやりたいことではないと気がついたのです。その考え方の変化の中で、学ぶこと=教育業界だと思い、1年次の「基礎演習」で興味を持ってとり上げたICT教育についてより深く追求したいと思うようになりました。
私は普段から、ICT教育関係のニュース記事は記録に残すように心がけていました。タブレット端末は2019年、国の予算で1人1台配布するという政策が決まり、そこにコロナ禍という世の中にもなり、あっという間に全国の小中学校のほぼ100%に普及する状況にもなりました。
そのような経緯から、3年次はwebデータ分析を専門とする川畑ゼミに入りました。ICT教育は先生の専門外ではありましたが、私が事情を説明すると先生は「個人の研究テーマは自由なのでいいですよ」と、快く受け入れてくださいました。そこで行った研究が、教育アプリをとり上げた「ICT教育の普及と活用方法」でした。それは、App storeに掲載されている英単語や翻訳などの、教育アプリについてです。まずは人気ランキングを、有料・無料上位30個ずつの集計を行い表にし、それらがどのようなアプリなのか、リリース年や評価を調べ、傾向を分析。また、オンライン学習システム「Googleクラスルーム」のような学生向けのアプリや、英語学習や学習管理アプリをいくつかピックアップしてレビューを分析するなども行いました。
最初は「ICT教育をやりたい!」という気持ちはあっても、その題材をどのようにwebデータ分析にもって行くのかに困っていました。社会学の研究なので、インタビューを行う印象が強く、webデータ分析のイメージがつかめなかったからです。そこで先生に相談したところいっしょに考えてくださり、結果的には先生が教育アプリを提案してくださったので「いいかも!」とやる気に火がつきました。
1年次から興味をもっていたICT教育に関する研究を、また3年次で行うことができて、大学で学ぶ楽しさをあらためて実感しました。また、この経験を通して教育業界に進みたいという気持ちが強くなり、私にとっては就活にもつながった授業になりました。
私は普段から、ICT教育関係のニュース記事は記録に残すように心がけていました。タブレット端末は2019年、国の予算で1人1台配布するという政策が決まり、そこにコロナ禍という世の中にもなり、あっという間に全国の小中学校のほぼ100%に普及する状況にもなりました。
そのような経緯から、3年次はwebデータ分析を専門とする川畑ゼミに入りました。ICT教育は先生の専門外ではありましたが、私が事情を説明すると先生は「個人の研究テーマは自由なのでいいですよ」と、快く受け入れてくださいました。そこで行った研究が、教育アプリをとり上げた「ICT教育の普及と活用方法」でした。それは、App storeに掲載されている英単語や翻訳などの、教育アプリについてです。まずは人気ランキングを、有料・無料上位30個ずつの集計を行い表にし、それらがどのようなアプリなのか、リリース年や評価を調べ、傾向を分析。また、オンライン学習システム「Googleクラスルーム」のような学生向けのアプリや、英語学習や学習管理アプリをいくつかピックアップしてレビューを分析するなども行いました。
最初は「ICT教育をやりたい!」という気持ちはあっても、その題材をどのようにwebデータ分析にもって行くのかに困っていました。社会学の研究なので、インタビューを行う印象が強く、webデータ分析のイメージがつかめなかったからです。そこで先生に相談したところいっしょに考えてくださり、結果的には先生が教育アプリを提案してくださったので「いいかも!」とやる気に火がつきました。
1年次から興味をもっていたICT教育に関する研究を、また3年次で行うことができて、大学で学ぶ楽しさをあらためて実感しました。また、この経験を通して教育業界に進みたいという気持ちが強くなり、私にとっては就活にもつながった授業になりました。
こだわってやり続けたICT教育をテーマに 先生の導きで完成した大作論文
4年次の集大成、卒論のテーマ選びには迷いはありませんでした。「日本のICT教育普及に関しての調査事例」と題し、最終的には5万5000文字もの大作になりました。
先行研究として日本におけるICT教育の普及や沿革をまとめたうえで、Google playのアプリのユーザーについて分析し、そこから課題と有意義な活用方法を考察しました。3年次のゼミ論文でApp storeの教育アプリ分析を行った結果、それがとても有意義だったので、今度はGoogle playのほうで同様に分析をしてみようということになったのです。川畑先生に利用動態などのデータセットをまた別に準備していただけたので、4年次で卒論として実施する形に発展させることができました。
Google playのほうは、データ量が多くてひとつひとつの考察が短く薄くなってしまったのが反省点ですが、全体としていろいろと盛り込めました。苦労したのは、自分が書けること、書きたいことだけになりそうだったことです。毎週1回、個別で先生とオンラインで面談し、文章を添削・加筆していただいたり、文献を紹介していただいたりしました。先生には「自分が書きたいことと、よい論文にするために入れなくてはいけない要素が別にある」とアドバイスを受け、自分の論文には何が足りないのかを考えながら、論文を完成させました。
3~4年次にかけて教育業界に絞って就活も行っていたので、その中で参加した企業説明会などで得た情報も卒論に入れ込みました。例えば、もとは事務用品の専門商社をしていた企業が、今は電子黒板とタブレット端末をメインに事業展開をしているなどの、リアルな情報です。
教育アプリの分析やICT教育に関する卒論を通して、小さな構造の背景にあるものや、人と教育のつながりなど、社会学的視点で深い部分まで意識することができるようになりました。一例ですが、教育アプリをよく使っている人はFacebookなどコミュニケーションアプリもよく使っているなどで、ICT教育の普及度や活用度合いを意識するようにもなりましたね。とにかくICT教育にこだわり、ひとつのことを長く続けた貴重な経験であり、自分のチャレンジでした。ご指導・アドバイスをいただき、やりたいことが学べる楽しさを感じることができたのは、川畑先生のおかげです。とても感謝しています。
先行研究として日本におけるICT教育の普及や沿革をまとめたうえで、Google playのアプリのユーザーについて分析し、そこから課題と有意義な活用方法を考察しました。3年次のゼミ論文でApp storeの教育アプリ分析を行った結果、それがとても有意義だったので、今度はGoogle playのほうで同様に分析をしてみようということになったのです。川畑先生に利用動態などのデータセットをまた別に準備していただけたので、4年次で卒論として実施する形に発展させることができました。
Google playのほうは、データ量が多くてひとつひとつの考察が短く薄くなってしまったのが反省点ですが、全体としていろいろと盛り込めました。苦労したのは、自分が書けること、書きたいことだけになりそうだったことです。毎週1回、個別で先生とオンラインで面談し、文章を添削・加筆していただいたり、文献を紹介していただいたりしました。先生には「自分が書きたいことと、よい論文にするために入れなくてはいけない要素が別にある」とアドバイスを受け、自分の論文には何が足りないのかを考えながら、論文を完成させました。
3~4年次にかけて教育業界に絞って就活も行っていたので、その中で参加した企業説明会などで得た情報も卒論に入れ込みました。例えば、もとは事務用品の専門商社をしていた企業が、今は電子黒板とタブレット端末をメインに事業展開をしているなどの、リアルな情報です。
教育アプリの分析やICT教育に関する卒論を通して、小さな構造の背景にあるものや、人と教育のつながりなど、社会学的視点で深い部分まで意識することができるようになりました。一例ですが、教育アプリをよく使っている人はFacebookなどコミュニケーションアプリもよく使っているなどで、ICT教育の普及度や活用度合いを意識するようにもなりましたね。とにかくICT教育にこだわり、ひとつのことを長く続けた貴重な経験であり、自分のチャレンジでした。ご指導・アドバイスをいただき、やりたいことが学べる楽しさを感じることができたのは、川畑先生のおかげです。とても感謝しています。
分野を問わず何でも挑戦することができ 途中で方向転換も可能
メディア社会学科で学んでよかったことは、私が入学当初関心のあったテーマにぴったり合った学科で学ぶことができたこと。そして、教育というまた違った分野について学びたくなったとき、方向転換をして学べる環境があったことです。分野を問わず、挑戦したいと思っていることに対して肯定・サポートしていただける環境が整備されているのが立教大学です。この環境があったからこそ、最終的に自分が進んでみたい道を見つけることができました。
そして私は4年間、サークル活動にも打ち込みました。中学・高校ともに卓球部だったので、大学でも卓球に熱中しましたし、サークル仲間とは長い時間をともに過ごし、私にとってとても大切な存在となりました。
そして私は4年間、サークル活動にも打ち込みました。中学・高校ともに卓球部だったので、大学でも卓球に熱中しましたし、サークル仲間とは長い時間をともに過ごし、私にとってとても大切な存在となりました。
将来は新しい分野の学校をつくるなど 人材を育てる社会人になりたい
就活の結果、私はたくさんの学校を経営する学校法人で仕事をすることになりました。目標として、まずは目の前の学生・学校と誠実に向き合い、信頼される社会人になりたいと思っています。将来的には、社会に必要とされる新しい分野の学校をつくり、大きく社会を変え、活躍できる人材を育てたいです。内定先では最近話題にもなったAIとITの専門学校を新しく設立しており、私自身、個人的には理数系の学校を企画したいと思っています。
大学生の4年間は時間がたくさんあって、社会的にも保障されている最高の期間だと思っています。その4年をフルに使って勉強や遊びなど多くのことを経験し、そのうえでやりたい分野に挑戦・没頭できた、有意義な大学生活を送ることができました。
大学生の4年間は時間がたくさんあって、社会的にも保障されている最高の期間だと思っています。その4年をフルに使って勉強や遊びなど多くのことを経験し、そのうえでやりたい分野に挑戦・没頭できた、有意義な大学生活を送ることができました。