社会学部社会学科2年生の武井 春樹さんにインタビュー

社会学科 武井 春樹

2022/04/29

在学生

OVERVIEW

社会学部社会学科2年生の武井 春樹さんに、立教大学での学びについて語っていただきました。

自分の「やりたいこと」は最高の相棒 大学で何を実現したいのかビジョンを持つことが道標になる

小学生のころから関心があった 「まちづくり」を学びたい

大学受験を考える際、小学生のころから好きで得意な社会科を活かせる学部で学ぼうと決めていました。社会学部を選んだきっかけは、高校3年生の進路相談で都市社会学という学問が存在することを先生から聞いたことです。私は小学生のころに遊んだゲーム「A列車で行こう」から「まちづくり」に関心を持ち、それを学問として4年間突き詰めて学ぶことができるという社会学の魅力と、とくに都市社会学の評判が高かった立教大学で「まちづくり」を学びたいと感じたことが志望のきっかけになりました。

社会学部が得意としているのは「まちづくり」の中でも住民やコミュニティ、地縁組織といったソフト的な側面での研究であり、一般的に注目されがちな建造物の配置や景観整備などのハード的な側面での研究はメインではありません。街は建物があっても、人なくしては成り立たず、ソフト的な側面の整備は「まちづくり」において重要なファクターであり、とても学びがいがあります。2年次からは情報社会、とりわけスマートシティ論を学んでいますがハード的なまちづくりと同様、各地の構想において地元住民の存在が軽視されている例が少なくありません。こうした綻びに目を向けるのは社会学の役割なのだと思っています。

報告書の作成技術や読解力、協調性など 「基礎演習」で研究の基礎力を鍛えた

1年次の「基礎演習」では、各分野で実績のある先生のもと、やりたい研究を自由に行うことで研究の基礎能力を養いました。先生によって授業の進め方はさまざまですが、学期末に提出する報告書の作成に向けて各ゼミがとり組みを進めるプロセスは共通しています。

菰田先生のもとで、前半は文献の精読と報告書の作成、後半はグループに分かれて関心に基づいた調査研究と報告を行いました。自分のグループでは「リノベーションまちづくり」という手法をテーマにしました。その理論と方法、各地の事例について文献で調査を行いながら、主導するアクターの存在という観点から4つの象限に分類し、分析して最終報告書にまとめました。

報告書にまとめる作業においては、留意点があります。まず、文献をチャプターごとに分けるといっても、単に文章の丸写しではなく、本の内容を何度も読み込んでどこが重要なのか、どのような流れの中で文章が記述されているかということを明らかにしながら、見やすく項目立てて文書を作成しなければなりません。「基礎演習」では、その技術を習得することができました。

また、関心に基づく調査研究については、数多くの文献に接することで情報を収集する力、活用できる部分を吟味する力を養いました。グループで協力したことによって、協調性や責任感、役割分担に伴う専門性を獲得できたほか、メンバー間や先生とのコミュニケーションから、学術分野でのマナーやリーダーシップ性の獲得もできました。

「都市社会構造論」では東京を舞台に 都市の変遷と「人の存在」を実感

2年次の「都市社会構造論」では、東京という身近な街を舞台に、近郊地域も含めてその地理的、歴史的背景を振り返りながら、地域やその住民のもつ属性や特徴を分析しました。コロナ禍で実地調査はできませんでしたが、テレビ番組など数多くの映像資料を参考にし、先生の解説と併せて都市の動的な変遷を把握することができました。

現在の東京の姿は偶然生まれたものではなく、江戸時代に整備された区画の上に関東大震災や戦災、高度経済成長やバブル経済、グローバル化など多くの歴史が層になって積み重なったものであり、表層を見ているだけでは感じられない味わい深さがあることに気づかされました。とくに都心部では、大手デベロッパーがビルを建設しては建て替えるなど常に街並みが変わり続けていますが、表通りから一歩入ったところには昔ながらの街が広がり、住民の日常生活が存在します。時代背景を受けて変わり続けるものが「ハード」的とされる街並みであり、「ソフト」的な人の存在との対比には衝撃を受けました。

コミュニティやスマートシティ ICTを通して社会の在り方を研究

3年次からはゼミの学びを中心に据えながらも、コミュニティと情報社会に対する認識をさらに追求し、4年次の卒業論文執筆に向けた準備を進めていきます。

所属する西山ゼミでは「コミュニティの社会学」がテーマです。身近な人と人との関係が構築する「コミュニティ」内に生じるさまざまな問題に目を向け、「市民活動」や「格差社会」といった最新のキーワードを反映しながら社会の在り方を研究しています。基本的には文献を精読して情報を集めるとともに、関連するテーマにおける最新の問題状況を調べてまとめ、グループで発表しています。ゼミでは活発に議論が行われ、コミュニケーション能力を育む場としても機能しています。

個人の目標としては、スマートシティ論を研究していきたいと思っています。身近な分野では、Mobility as a Service(MaaS)を活用したオンデマンドバス・タクシーの活用可能性について見識を深め、都市部での交通量抑制と地方部での移動手段確保という両面で地域の人々にいかに恩恵を与えられるか検討するほか、MaaSがコミュニティ統合の場として活用できる可能性を探っていきたいと考えています。

卒論については「ICTを媒介とした地縁関係の構築可能性」をテーマにとり組みます。新型コロナウイルスの感染拡大で、人々のコミュニケーションにとってオンライン機器の役割は極めて重要になりました。また高速大容量の通信規格「5G」の商用化は、さまざまな産業分野や行政、また自宅においてもデジタルによる情報管理を可能にしました。こうした動きの中で、地理的に近接した狭い範囲の中でアンテナを共有し、高速通信を可能にする「地域BWA」や「ローカル5G」といったサービスが提供され、これがコミュニティの分布と重なる可能性があると考えています。これを「ICTを媒介とした地縁的つながり」と名付け、人口縮小社会において地域コミュニティに生じる諸課題を、高度化された情報ネットワークはどう解決できるか考察を行い、具体的な方策を提案していく予定です。

蔵書が豊富な図書館に常駐する ラーニングアドバイザーのサポートを受けた

立教大学では、言語科目と全学部に共通した科目は数・内容ともに充実しており、関心や目的に基づいて授業を選択できるほか、他学部の専門授業も履修しやすく、学部間の垣根を意識せずに学びたいことを学ぶことができます。実際に私は、新座キャンパスの講義も受けています。同じテーマを扱っているのに自分の学部とはアプローチが違うなど、あらゆる視点を獲得できることが大きいです。

また、図書館はキレイで大きく、蔵書の豊富さにはいつも驚かされます。それだけでなく、うろ覚えだった新聞記事を一緒に探してくださった親切な職員の方やラーニングアドバイザーが常駐し、学びをアシストしてくださるのでとても心強いです。

大学の授業で学んだ知識と理論、ゼミで得る経験と応用をもとに、将来は「まちづくり」に関連する業界で働きたいと思っています。とりわけ、今学んでいるスマートシティの計画に当事者として携わることを夢見ています。しかし、ひと口にスマートシティといってもその内容は多岐にわたり、ある先生によればその領域は「森羅万象」とされるほど大きいものだといいます。私がスマートシティに携わるとすれば、一部の民間企業や行政の実績作りに加担することはせずに、真に地域の人々が求めている分野でスマートシティ化を実現し、さまざまな通信機器が媒介する中でも、人が主役となる街を実現することに全力を尽くしたいと考えています。

私は、勉強以外の大学生活もできるだけ楽しく有意義に過ごそうと、2年次から大学のメディアセンターでアルバイトをしています。オンライン授業が主体だった中で、キャンパスに足を運ぶ貴重な機会を得られました。大学の時間割に沿ったシフトなので空きコマを有効に使えるところがありがたいです。サークル活動は、アニメ「ラブライブ!」好きの学生が集まり新設された「ラブライブ!同好会」に入り、同じ趣味を持つ素敵な仲間たちと出会い楽しく過ごしています。

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