座談会

荒川誓那 Arakawa Sena 河野勇作 Kawano Yusaku 筒井円香 Tsutsui Madoka 野中麻優 Nonaka Mahiro

2022/05/08

在学生

OVERVIEW

幅広い分野を扱う社会学部へと、志と希望を持って入学した各学科のみなさん。
彼らは多彩なプログラムをどのように吸収し、何と出会い、何を得てきたのでしょうか。
学内外の充実した大学生活をふり返りながら、社会学部で学ぶ意義や喜びについて、
座談会形式で大いに語っていただきました。

筒井
最初は社会学って、社会問題の解決方法を考える学問だと思っていました。実際は、1年次の「社会学原論」で学んだように、一つひとつの人の行動について「なぜそのような行動をするのか」など、背後にあるメカニズムなどを理論的に学ぶのが社会学。それが徐々に理解できました。
荒川
社会学は、高校の社会の授業の延長かなと思っていました。「社会学原論」の中で「自殺論」を学んだとき、それはまったく違うことがわかりました。自殺は個人的理由からではなく、社会的な理由がかかわっていることを知り、社会学が何かをつかめたような気がしました。1年次の「社会学原論」は2~4年次にかけて生きてくるので、大切な授業ですよね。
河野
社会学って、日常のありふれたこと、些細なことでも学問的に突き詰めていくと、何かが見えてきて発見がありますよね。
野中
授業で「儀礼的無関心」=同じ社会的状況に単に居合わせているだけの、人々の間で行われる礼儀正しい振る舞い方のひとつ、って聞いて自分が何気なくやっていたことが社会学ではカテゴライズされていて、実は名前がついていたことに驚きました。社会全体で起きているマクロな問題だけでなく、個人的なミクロな行動も学ぶことを「社会学原論」を通して知りました。
荒川
すべてのことに関して視座が高くなれました。角度を変えて物事を見ることができるようになりました。卒論のテーマに迷っている友人が「心霊スポットの経済効果をテーマにしようかと思っている」と聞いて「そもそも、人がなぜ心霊スポットに行くのか、から攻めてもおもしろいんじゃない?」というアドバイスができるようになりました。
野中
自分で仮説を立てたり、調査をしたり、ゼロから最後まで自分の力で考えて行動する、という経験をできたことは大きかったです。4年次で取り組む卒論では、1年次の必修の科目である「社会調査法」で習った、インタビュー調査・参与観察・ドキュメント分析を使い、それまで勉強していた調査法を4年次で総合的に実施し、集大成となりました。このように1~4年次にかけて、学んだことが少しずつ活かされました。
河野
荒川さんのように、あらゆる物事に一歩突っ込んだ目で「それって、そもそもどうして?」を考えるマインドが身につくのが社会学の特徴ですよね。ある教員が「この世で起こる、人が介在する事柄のすべてを扱うのが社会学だ」っておっしゃっていました。経済学、心理学、法学、環境やジェンダーなど枝をのばしていってすべてを関連させてごちゃ混ぜにして考えるのが社会学。私は最初「社会開発学」をやりたくて入学しましたが、最終的には「難民と人道支援」の研究に行き着きました。
筒井
私も教職課程を途中までとっていて、それに関連して地理学や地誌学もとりましたね。それはそれでとても楽しかったです。メディア社会学科を選んだのは、そもそも出版やマスコミ業界に進みたかったからでした。しかし、「教育社会学」など多種多様な科目を履修して勉強をしていくうちに、以前から興味があったICT教育の研究へと分野が変わりました。社会学部は方向転換が可能ですよね。
荒川
興味深いテーマの授業が多いですよね。自分の入学動機は正直、社会学部というよりも大学見学で立教のキャンパスを見てひと目惚れでした。あまりにステキな校舎に「絶対に立教に入る!」と決意しました。晴れて入学したあと、学びたい方向が絞れない中、プログラミングに興味があったので授業の中から探して「情報処理2」を受けたことが自分の転機になりましたね。広い分野から自分の好きなものを見つけることができました。
野中
私は教育格差や貧困に興味があって研究もそこに絞り、卒論は「子ども食堂」をテーマにしました。やりたいテーマも学びも柔軟に変えられますよね。学部の垣根を越えて、好きなことを学ぶことができるのが、立教大学のよいところでもあります。経済学や法学、理系に関する分野の授業も受けることができ、さらには英語や中国語などの外国語の力を伸ばせる授業もあります。
また、勉強に関することで不安なことがあれば、ラーニングアドバイザーの方がいるのでいつでも相談できます。教員も非常に親身になってくださる方が多く、授業で分からないことは質問のやりとりで解決できます。そのため、心配することなく勉強に取り組むことができました。
河野
国際社会コースは、履修できる授業の自由度がより高く、学科を横断して履修できます。やってみて実感したことは、カリキュラム上、学習内容のカテゴリーは分けられていますが、メディア社会学科の授業の内容が、現代文化学科の授業の内容と関連があったり、ベースにある概念が同じだったりと、学科の垣根を飛び越えて勉強してみて始めて学問同士のつながりを発見できたことがとてもおもしろかったですね。難民の授業とジェンダーの授業で、両方に根源的な人権の話があって「あれ?共通している」みたいなことは多かったですね。
立教は、キャリアやボランティアの支援センターやジェンダーに関する相談窓口まであって、学生に対するサポートが手厚いですよね。
野中さんが言う通り、教員も親身になってくださいます。進路のことをゼミの教員にお話ししたら、お知り合いの国連やNGO職員の方、有名な学者の方につないでくださって、直接ご相談に行ったことがあります。
筒井
リアクションペーパーで教員に質問をすると、それについてフィードバックが来るのですが、私はいつもそれが楽しみでもあり、深い学びにつながりましたね。
河野
そうですね。学生の質問に教員が答える形で、授業の内容がガラッと変わったこともありましたね。「良い質問があったから、今日はこれについてみんなで考えよう」とか。オンラインでしたが、とてもインタラクティブで、一方的でなく教員が学生をしっかり見てくれているなと思いました。
私は、2年次からの国際社会コースで最初に受けた、少人数クラスの英語で行うプレゼンテーションやディスカッションは衝撃的でした。テーマを投げられて、素早く頭の中にある知識を使って、自分の意見を組み立てて説明することの繰り返しで、ついてゆくのがとても大変でした。しかし英語のスキルはもちろん、テーマが社会問題に関連していることが多いため、基礎的な理解力を鍛えられました。
野中
ありますね、英語でのディスカッション。初めて会った人と英語で話すのはとても難しいですよね。ディスカッションで自分が思うように話すことができなくても、留学生からその国のさまざまな事情を聞くことができたので、よい経験になりました。
筒井
「バレンタインデーに賛成か、反対か」を題材にしたディスカッションなど、英語の定型文があって、それを練習するためにテーマがあるみたいな授業もありました。
河野
1年次の夏、カナダに1ヵ月短期留学に参加しました。世界中から集まった学生たちと勉強しましたが、短期間に大量の課題をこなさなくてはならず、修行の日々でしたが日本ではできなかった、海外ならではの授業スタイルを体験できました。
荒川
私も1年次の後半に「RSL-プロジェクト・プランニング」のボランティア・プログラムに参加して、夏休みに2週間インドネシアのジョグジャカルタに行きました。インドネシア人の友だちがたくさんできて、今でもたまに電話で英語の勉強を手伝ってもらっています。そのプログラムでは、ボランティア活動をしたというよりも、現地のイスラム教の文化に触れ、自分の誤解や偏見がなくなった感動的な体験でした。
筒井
私は海外プログラムには参加しませんでしたが、勉強以外では卓球に打ち込みました。プライベートでもサークルのメンバーとドライブに行くなどともに遊ぶことが多く、大学生活で最も長い時間をサークルの仲間と過ごしました。2年次から副部長を引き受けたのですが、人前で話すことが得意ではない私にとっては一番のチャレンジでした。100名以上メンバーがいるのでやることも多く大変でした。
大学生活は遊びだけ、勉強だけではもったいないですよね。社会学部は、社会学を基盤にして新しい分野の学びを経験したり、新しい人と出会ったりとやる気になれば何でもできます。入学時に何かにチャレンジしようという心構えを持っていれば、その後の4年間は全然違いますよね。
野中
そうですよね。私も大学に入学したら何か新しいことを始めようと決めていて、陶芸部に入部して、夢中で作品を作りましたね。
社会学部は出身地が違う人や自分の考えとは違った意見を持っている人が多く、多様性を感じます。もし自分がまわりと違う考えを持っていたとしても、それを否定されることなく、受け入れてくれる人が多いです。だからこそ、ゼミなどの授業では自分の意見を言いやすく、さまざまな意見を聞くこともできるため価値観が広がりました。
荒川
大学は高校までと違って、敷いたレールはなくなります。とくに社会学部は学問領域が広いので、何をどのように学ぶか自由度は高いのですが、やりたいことが見つからなければ何も身につきません。何かに一生懸命にチャレンジして、成功体験を積み重ねれば、必ず大学生活が充実しますよね。
河野
本当にそうですね。自由で何でもできる分、何もしなければゼロ。自分のように最初に「社会学部で開発学が学びたい!」と、糸口となるようなものが入学時にひとつでもあれば、それが自分の道を切り開くうえでベストだと思いますね。そこからスタートして、あとで興味関心のあるものを勉強していけば道筋はつきますし、あとでいくらでも修正ができます。

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